【記者座談会】ことしも記録的な豪雨が発生/CCUSが単年度の黒字化を達成 | 建設通信新聞Digital

5月10日 金曜日

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【記者座談会】ことしも記録的な豪雨が発生/CCUSが単年度の黒字化を達成

A ことしの夏も記録的な大雨によって各地で深刻な被害が発生している。7月には東北や九州、8月には東北や北陸などで河川氾濫や土砂災害などが相次いだ。

B 防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策が着実に進んでいるとはいえ、気候変動の影響で頻発・激甚化している近年の災害に対するハード整備の余地はまだ残されているといえるだろう。

C 治水面では、特にダムの担う役割は大きい。先日開かれた国土交通省社会資本整備審議会の小委員会では、三つのダム事業の2023年度予算化を妥当と判断した。対象となった北海道幌加内町の雨竜川ダム再生事業、福岡県朝倉市の筑後川水系ダム群連携事業、寺内ダム再生事業は本格的に建設段階へと移る。いずれも地域の安全・安心を支える重要なプロジェクトだ。

D 近年の災害を踏まえ、中止となったダム事業の再開を求める動きも出始めている。水資源機構が群馬県片品村で進めていた戸倉ダムは03年に事業中止となったが、地元市町村はその再開に向けて7月に期成同盟会を立ち上げた。国などに請願や陳情を進めていく考えだ。

B 08年に中止となった直轄による長野県伊那市の戸草ダムも再開を求める声が上がっている。4月に4選を果たした白鳥孝市長は、ダムの建設推進を公約の一つに掲げていた。市長は天竜川流域全体の治水対策の一環として、ダム建設を国に要望する方針だ。

D 20年7月豪雨による熊本県・球磨川の甚大な被害を受けて、蒲島郁夫知事が建設中止となっていた川辺川ダムの建設容認を表明したことも記憶に新しい。ダムによる治水の必要性に改めて注目が集まっているね。

ダムは治水や利水だけでなく、電力発電や地域活性化など、さまざまな効果を生み出す

日々のちょっとうれしい特典にも期待

  

A 話は変わるけど、業界内ではかねてから耳にしていたが、建設キャリアアップシステム(CCUS)の21年度決算がこのたび確定し、単年度での黒字化が現実のものになった。

B 21年度の登録数は技能者が33万9000人、事業者が4万社で、就業履歴登録数は2736万件だった。いずれの項目も目標値をクリアした。決算収支は約6億円の黒字となり、当初の試算を2年前倒しする形で黒字化を達成した。

C 一時はCCUSの存続自体が危うい局面もあったけど、建設技能者の処遇改善に向けた業界共通の制度インフラとしての持続可能性が見えてきた。22年度中に技能者登録数が100万人を突破すると予測されているようだけど、それでもまだまだ全体の半数に満たない道半ばの状況だ。気を緩めることなく、業界一丸で「もう一段」の進展が求められる。

A 先日開かれたCCUSの運営協議会では、登録した技能者に特典を付与する動きも報告されたようだね。

B 資格受検対策講座の受講料を割り引いたり、工具類の購入に使えるポイントを発行したり、カーリース料をキャッシュバックしたりと、さまざまな企業が「身近なメリット」の提供に乗り出してきた。なかには、ハイボール一杯無料なんて飲食店もあったよ。

D 長らく担い手確保が問題になっているとはいえ、建設業は現在でも500万人近くが就業する基幹産業であることに変わりはない。CCUSは、基幹産業であり続けるために不可欠な技能者の処遇改善、優秀な職人を雇用する専門工事業の評価向上などが大命題だが、ちょっとした日々の特典もうれしい。勝手を言わせてもらうと、個人的には既に市民権を得ている○○ポイントなんかと連動できたら最高だろうね。

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