【BIM未来図 仮設リース業のいま】杉孝(下) データつなぎ注文から供給へ 到達点はプラットフォーム化 | 建設通信新聞Digital

5月15日 水曜日

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【BIM未来図 仮設リース業のいま】杉孝(下) データつなぎ注文から供給へ 到達点はプラットフォーム化

 杉孝(横浜市、SUGIKO)が足場モデルを提供するゼネコンの現場では、5年前から運用を始めた独自のウェブオーダーシステム『COLA』が活用される傾向が強いという。同社が標準システムに位置付けるオートデスクのBIMソフト『Revit』は集計表をCSVファイルデータとして書き出すことが可能で、これをCOLAに取り込む形で連携すれば、簡単に注文まで実現できる使い勝手の良さが要因の一つだ。

BIM現場はウェブオーダーシステム「COLA」を積極活用


 COLAは24時間の注文が可能で、しかもシステム内に搭載する自動計算機能によって、注文する仮設機材の個数や重量を明確に把握できる。現在のユーザー登録数は3万6000社を超える。首都圏内の活用は全体の5割に達するが、BIM現場の活用率はそれを大きく上回る。技術営業部デジタルサービス推進課の三宅祥子課長は「COLAを有効に活用するためにBIMを指定する現場もあるほど」と説明する。

 BIMを使って付加価値を提供する仕掛けは、他にもある。CGコンテンツ制作会社の積木製作(東京都墨田区)とMR(複合現実)を活用した足場安全教育用のコンテンツを開発し、事務所に居ながら足場点検などを学べる枠組みを整えた。足場モデルを提供する実プロジェクトでの現場検討会ではVRを使った安全対策もスタートした。

 設計課の吉川聖武課長は「社としてオールBIM化を目指していることは間違いないが、重要なのはBIMと関連するデータがシームレスに結び付く連携性が重要になる」と焦点を絞り込む。BIMを本格導入するゼネコンとはオートデスクのプラットフォーム『BIM360』などを使ってリアルタイムに情報を共有しているが、とび職とは直接的に共有する手段がない。

 同社が足場モデルづくりで「手軽感」を掲げるのも、とび職をはじめ現場関係者と手軽にコミュニケーションを向上していきたいとの思いからだ。Revitを有効に活用するための支援パッケージ『BooT・one』を提供する応用技術(大阪市)が、そうしたノンBIMユーザー向けのクラウドサービスとして運用を始めた『Connect・one QS』も有効な手段になり得ると、導入検証をスタートした。

 三宅氏は「足場モデルのデータを生産工程まで有効活用していくことが、当社が目指しているBIMのカタチ」と強調する。足場モデルの中にあるさまざまなデータは同社の事業基盤であり、注文からリアルタイムで現場に機材を供給できるデリバリーの部分にまでシームレスにデータをつなぐプラットフォーム化を到達点の一つに置く。

 目指すのは仮設計画の立案から積算、見積もり、数出し、搬入、配車、安全点検、引き取りまでを一元管理する一貫システムの確立だ。仮設機材レンタル分野では先頭に立つ同社のBIM対応だが、杉山亮取締役副社長は「われわれの目指すBIMの到達点から言えば、まだ山の2合目当たりを登っているところ」と語る。同社はBIMを基軸にDX(デジタルトランスフォーメーション)の領域に踏み込もうと動き出した。

事務所に居ながら学べる足場安全教育用コンテンツも開発



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