【無影灯不要の天井照明型手術室】大林組「オペルミ」 | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

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【無影灯不要の天井照明型手術室】大林組「オペルミ」

◆柔軟な施設配置可能
 大林組は、手術用設備である無影灯を必要としない天井照明型手術室「オペルミ」を開発した。手術部位の視野に影を入れずに明るく照らす無影灯と同様の機能を天井全面に持たせることで、天井高を他の病棟フロアと同様とすることを実現。柔軟な施設配置計画が可能となり、建設コストの低減も見込める。手術台の直上部を空調吹き出し口とし、周囲に昭明を配置することで、照度を確保しながら良好な手術環境を維持できる。

オペルミを導入した手術室の イメージ 


 手術室に無影灯を設置する場合、他の病棟フロアよりも高い天井高を確保する必要があるほか、無影灯が熱い、無影灯がクリーンエアーの妨げになるといった課題があった。今回の開発は、初期段階から事業化を視野に入れ、医療現場のニーズを出発点として問題の解決策となるイノベーションを実現する「ニーズ発医療機器開発プログラムMIU」に参加し、阪大大学院医学系研究科保健学科未来医療学寄附講座の澤芳樹特任教授と共同で取り組んだ。

 開発したオペルミは、手術部位の視野を明るく照らすために72基設置する「自動シューティングライト」と、手術室全体に均一な明かりをもたらす「導光板パネル照明」を組み合わせて、必要な照度と無影環境を確保する。
 自動シューティングライトは1基ごとに照射角度を指示でき、ライトが自動で角度を変えるため、手や器具の影を分散・希薄させ、死角を減らす。今後、タブレット端末からの操作指示や照射位置への72基が連携した自動フォーカス、執刀医の動きに合わせた自動追尾機能の導入を検討する。

 無影灯を必要としないことから、3000mm以上という従来の天井高の制約がなくなり、病棟の各フロアへの手術室の配置や既存の病棟への手術室の増設などが可能となる。開発の検証に参加した医師からは、「病棟と同じフロアに配置できれば、別の階の手術室まで患者を移動しなくても済む」といった声が寄せらている。また、天井高を低く設定することで躯体の減少や柱が短くなることで建設コストも削減できる。



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