【自律走行型草刈り機、複数台を一元管理】金杉建設、アクティブ・ソリューション、創和 | 建設通信新聞Digital

4月26日 金曜日

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【自律走行型草刈り機、複数台を一元管理】金杉建設、アクティブ・ソリューション、創和

◆堤防除草の大幅な省力化・作業効率向上

 金杉建設(埼玉県春日部市、吉川祐介社長)、アクティブ・ソリューション(横浜市、島村明社長)、創和(千葉県船橋市、西尾貴至社長)の3社によるコンソーシアムは、これまで開発・実用検証していた「大型自律走行型草刈り機」のシステム機能を高度化した。集大成と言える今回の改良では、一人の現場管理者が複数台を一元管理することで、堤防除草の大幅な省力化と作業効率向上を図る。今後、実際の堤防で各機能の検証を進める。
 大型自律走行型草刈り機は、一昨年度の開発機や昨年度の実用機に続き、2022年度も国土交通省の「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト(PRISM)」に採択された。開発機は、「設定ルートの走行」「障害物を検知して自動停止」、実用機は「除草面積や走行経路の自動算出」「夜間作業への対応」「障害物を検知して自動で回避・経路復帰」の機能を検証し、確実にステップアップを図ってきた。
 コンソーシアムの代表幹事を務める金杉建設の吉川社長は「日本全国どこの河川でも除草作業が行われている。作業員は真夏の炎天下で除草作業に従事しており、負担軽減が期待できる」と、改良を続ける理由を語る。

一元管理のイメージ

 今回は、搭乗式とラジコン式の2台の草刈り機を一元管理ができるように改造した。どの機械でも後付けで対応できるのが特徴となっている。それぞれ従来の搭乗式やラジコン式と自律走行の切り替えも可能だ。現場管理人は一人でタブレットを使い、ルート設定や作業確認、緊急停止などの作業ができる。
 金杉建設が施工する「R4三郷・吉川河川維持工事」では、今月6日から発注者の関東地方整備局の了承を得た範囲内で現場実証を始めている。
 実証では、複数台の管理機能を含め、作業員が容易に操作できる管理ソフトウエアを構築し、除草面積の算出や帳票出力のほか、走行・距離や平均速度などの作業日報を出力する。

コンソーシアムのメンバー

 勾配変化や不陸によるGNSS(衛星測位システム)、IMU(慣性計測装置)の挙動変化を検知し、走行軌跡やカメラと同調させて、現況を確認する。
 グーグルマップなどの地図ソフトや現場の3次元データ(管内図)、CAD図と連携して作業範囲を指定し、作業現場ごとに自動走行するための最適経路を自動計算するプログラムを完成させる。作業機有効幅やラップ率、法面勾配、走行速度をパラメーターとして経路計算する。
 また、昨年度までに実装した、人などの障害物を検知した場合の回避・停止アルゴリズムの総合確認を進める。具体的には、運用時の課題点を抽出し、必要に応じてソフトウエアやハードウエアを追加し、システム全体の信頼性を高める。
 金杉建設工事部の藤沼修次長は「省力化や作業効率向上の観点から、作業の自動化は必然の流れになっている。今回の大型自律走行型草刈り機については、既にメーカーや施工会社からの問い合わせがきている。商業化を視野に入れ、体制を整えていく」と力を込める。



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