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【「つい、試してみたくなる」 建設現場の課題解決にも】阪大大学院 松村真宏教授が提唱する「仕掛学」

最終更新 | 2023/03/16 09:35

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 「仕掛学」とは、「つい試してみたくなる」仕掛けによって、問題解決につながる行動を誘発する仕組みを研究する。提唱者である松村真宏大阪大大学院教授は、日本たばこ産業(JT)などと喫煙マナー向上のための仕掛けを施した「光学迷彩型喫煙所」を開発し、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などを通じて世間の耳目を集めている。「ついそうしたくなる仕掛けの発想は、ヒヤリハット活動や熱中症予防など、建設現場の課題解決にも大いに貢献できるはず」と語る松村教授に話を聞いた。


 (まつむら・なおひろ)
 阪大基礎工学部卒、東大大学院工学系研究科博士課程修了。2012-13年スタンフォード大客員研究員、17年から阪大大学院経済学研究科教授。もともとはAI(人工知能)を研究対象としていたが、後に「仕掛け」の事例を収集・分類・研究する「仕掛学」を創始。著書多数。1975年大阪府生まれ。


 仕掛学は、人の行動を変える仕掛けを研究対象にした松村教授オリジナルの学問領域である。仕掛けの定義には、▽公平性▽誘引性▽目的の二重性--の三つを挙げる。例えば、歩道沿いの自転車置き場に白い線が引かれていれば、線に沿って自転車を停めたくなる。これは誰も損をしていないため公平性があり、つい線に沿って停めたくなる誘引性がある。加えて、単に整理されるだけでなく、壁際に寄せられるので歩道が広くなり歩きやすくなる。仕掛けを設置する側と使う側の目的が異なり、「目的の二重性」という要素も満たす。

 分かりやすい「仕掛け」の例には、トイレの「的」を挙げる。「便器に印をつけておくと、そこを狙って用を足したくなる人間の心理を利用している」という。ポイントは強制をしないこと。「トイレをきれいに使いましょうなどとわざわざ言わなくても、的を置くだけで利用者の意識や行動が変わる」と説明する。こうしたメカニズムを活用して新たな仕掛けを研究開発するのが仕掛学だ。

◆大阪に「光学迷彩型喫煙所」

「光学迷彩型喫煙所」。周囲からの注目やミラーに映る自分の姿によってマナーが向上する

 2022年末から大阪市のうめきた外庭SQUAREに設置している「光学迷彩型喫煙所」は、松村氏とJT、船場、WE+によるプロジェクトチームが考案した。「光学迷彩」とは視覚的に対象を透明化するアプローチで、今回は喫煙スペースの周囲に柱状のステンレスミラー38本を設置。周囲の景色が映り込むように半球状にランダムに配置し、背面に植栽した。これにより、喫煙所が街の景観に溶け込み、あたかも消えたようになる。喫煙所に入った人もやはり消えたように見える。こうした「不思議な空間」を出現する仕掛けを施した。

内装


 不思議な空間が現れれば、周囲の注目を集めやすくなる。「誰かから見られるという意識がマナー向上につながるだけでなく、喫煙する自分の姿がミラーに映し出されることで、立ち居振る舞いにも意識が向き、自然とマナー向上を心掛けるようになる。入りたくなるようにすれば、結果的に喫煙所以外での枠外喫煙を防止することにもつながる」と話す。

 また、「喫煙所にはあまり良いイメージがないかもしれないが、インスタ映えする撮影スポットになれば、一度見てみたいと思う人も出てくるのではないか。こうして喫煙所に対するイメージも変わっていくと思う」。今後は利用者を対象にヒアリングなどを行い、仕掛けの効果を検証して街中への実装を目指す。

◆ゼネコンとも実験
 松村氏は、仕掛けの事例を集めるだけではなく、バスケットボールのゴール付きのごみ箱を大学内に置くなど多くの仕掛けを試し、利用頻度などのデータを検証してきた。最近では、アルコール消毒液が自動的に噴射する「真実の口」を阪大医学部附属病院に設置。思わず手を入れてみたくなる心理から、大人も子どもも何度も笑顔で消毒する効果があった。使用率は設置前に比べて約20倍に増えたという。

 「仕掛けのメカニズムを解き明かして活用すれば、大いなる可能性が広がる」と語るように、マーケティングなど多様な分野への応用が期待できる。だからこそ「工事現場でもいろいろと使えるだろう」と考えている。実際に数年前には某ゼネコンと仕掛学を生かし安全性の向上に向けた実験をしたことがある。

 「一般的に無関心な人に関心を持ってもらうことが最も難しい。正論を言うと反感を持たれ、逆に意固地になってしまうケースもある。従来のアプローチが使えない場合に、仕掛けを“デザイン”することで問題を打開できる可能性がある。このため、さまざまな危険が潜む建設現場の労働災害をなくすためのヒヤリハット活動にも仕掛学の発想が役立つ」と力を込める。“みんなが笑顔になる遊び心のあるアプローチ”により、建設現場の課題を解決する。そうすることで、「現場で働く職人さんがもっと力を発揮できるようになるのではないか」とみている。





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