【記者座談会】品川出張所をDX化/初代国交相の扇千景さん逝去 | 建設通信新聞Digital

5月17日 金曜日

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【記者座談会】品川出張所をDX化/初代国交相の扇千景さん逝去

◆業務効率化、働き方の質改善

A 国土交通省関東地方整備局東京国道事務所が品川出張所(東京都品川区)をDX(デジタルトランスフォーメーション)化したそうだね。

B 直轄出張所初の取り組みとして10日にリニューアルした執務室が報道機関に公開された。現場の最前線拠点の変貌ぶりには驚かされた。

A 何が変わったのかな。

B 管理業務の効率化や窓口対応業務の迅速化に向け、道路管理用GIS(地理情報システム)プラットフォームの導入やデジタル化によるペーパーレス環境を実現した。快適なオフィス空間の創出や多様な会議形態に対応するため、フリーアドレスを取り入れた。VR(仮想現実)機器などの最新技術も普段使いする計画だ。

A 公的機関の執務室は書類が山積みになっている印象があるけど、ペーパーレスとは驚きだ。

B DX化に伴い、ダンボール約200箱分の大小約2000冊のファイルをデジタル化した。工事関係では、遠隔臨場や3次元モデルを活用した施工シミュレーション、VR技術などを駆使して機材の配置や材料の位置、据え付け手順などを確認し、施工計画の最適化などを目指している。さらに出張所の利用者もDX化による恩恵を受けられる。

A 具体的には。

B 例えば、道路基盤地図をベースに各種データを一元的に蓄積・処理するGISプラットフォームの導入により、2022年度(2月末時点)だけで約2900件あった窓口対応業務が迅速化できる。従来は紙資料の道路台帳図などをさまざまな場所から取り出して用意する必要があった。

A なるほど。働き方とともに仕事の質も大きく変わりそうだ。こうした取り組みが今後も広がることを期待したい。

DX化された品川出張所では、VR技術も普段使いに

小気味よく気さくな人柄

C ところで、初代国土交通大臣を務めた扇千景さんが亡くなられたね。ベテラン記者が中心になると思うが、思い出話やエピソードがあれば話してほしい。

D 最近の動静は把握していなかったので、ニュースを見て驚いた。最後の建設大臣、初代国交相を務め、04年には女性初の参院議長に就任した。今でも大臣時代のはつらつとした姿、声が記憶に残っている。建設専門紙記者会にも折を見て訪ねてきてくれたが、そのたびに記者室が華やかな雰囲気に包まれた。

E 初代大臣として全国行脚した際に2度仙台で記者会見があり、代表質問したことがある。1度目は予定にない質問をして、大臣も一瞬あれっという顔をしたが当意即妙に答えてくれた。2度目は県政記者会の代表者が所属先を名乗らずに質問しようとしたら、「まずお名前を名乗りなさいよ」とぴしゃりと言い放った。その歯切れの良さは聞いていて小気味のいいものだった。

C 業界団体の定時総会後の懇親パーティーや、叙勲祝賀会などにも顔を出していたし、02年に建設専門紙記者会が創立40周年を迎えた際に開いた記念式典にも出席してくれた。礼節を重んじる人だったと思う。

D 気さくな人柄でもあった。ある日、国交省のエレベーターに乗ろうとしたら、大臣が乗っていて「一緒にどうぞ」と言ってくれた。セキュリティーの問題もあるし、普通はそんなことは言わない。

E 建設専門紙記者会の創立50周年記念誌には『信無くば立たず』というタイトルの祝辞を寄せてくれた。締めの一文には「貴記者会が扇の要として大きな役割を担われ、次の世紀に向けてさらに発展していくことをお祈りします」とある。“扇の要”なんて、しゃれが効いているよね。ご冥福をお祈りしたい。

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