安田不動産は、同社が運営する新虎安田ビルで、清水建設が提供する建物OS(基本ソフト)「DX-Core」を使い、スマートビルとして運営を始める。DX(デジタルトランスフォーメーション)やIoT(モノのインターネット)サービスを活用し、施設利用者の利便性の向上と建物管理の効率化を目指す。また、scheme verge(東京都文京区、嶂南達貴代表取締役CEO)の人流解析・マネジメントプラットフォーム「Horai」をDX-Coreと連携させて、にぎわい創出を目的とした実証実験を3社で実施する。将来的に、スマート化した建物を核として周辺地域とのデータに基づいた施策連携でにぎわいを創出し、地域創生に寄与する高付加価値なサービスを提供したい考え。 新虎安田ビルでは専用ポータルサイトを開設し、DXサービスを提供する。ポータルサイトでは、施設利用者とビル管理者が容易に連携できるように、館内のお知らせ情報の閲覧や各種申請、テナント内の空調・照明・ブラインド操作ができる。機能は利用者の要望に応じて拡充する。また、トイレや喫煙室の混雑状況表示、エレベーターの自動呼び出しなどにより、日常的なビル利用を自動化・見える化する。DX-Coreを介してさまざまな設備や機器、アプリケーションとの連携を図る。
実証実験では、新虎安田ビルと周辺地域でDX-CoreとHoraiを連携させ、ビル内外の人流データを取得・解析し、その結果をDX-CoreとHoraiそれぞれのアプリ経由でリアルタイムに提供する。データに基づいた施策を打ち出すことで、テナント満足度の向上、商業施設の利用促進、地域活性化などを目指す。
具体的に、施設利用者にデジタルスタンプカードやクーポンサービスを提供し周辺地域での消費を促すとともに、オフィステナント向けのチームビルディングイベントを開催し、出社意義を高める施策を検討する。施策を通じて得たデータを活用し、サービス改善のPDCA(計画・実行・評価・改善)を繰り返して効果的な方法を模索していく。
実証実験は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「産業DXのためのデジタルインフラ整備事業/人・ロボット・システムを有機的に結合するスマートビル基盤に関する研究開発」で、清水建設とscheme vergeが応募し、採択された「人の行動履歴等、人流データ活用によるスマートビルを中心とした賑わい創出および地域の活動意欲活性化検証事業」の一環として推進する。