【ワークマン 土屋 哲雄専務に聞く】スタイリッシュ作業服 「非常に好調」 | 建設通信新聞Digital

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【ワークマン 土屋 哲雄専務に聞く】スタイリッシュ作業服 「非常に好調」

 ベーシックな作業服を元に蓄積したノウハウを生かし、低価格で高機能な製品を一般客に販売する新たなビジネススタイルを確立したワークマン。最近では作業服をベースに開発した一般向け製品が職人にも利用され、現場の作業環境向上に貢献する好循環が起きている中、建設業を始めとするプロ職人向けブランド「PRO CORE」を発表。建設現場で主流になりつつあるスタイリッシュ作業服に本格参入し、本業回帰の姿勢を明確にした。同社の快進撃を支える土屋哲雄専務は、「滑り出しは非常に好調」と確かな手応えを感じている。

 2020年に「#ワークマン女子」が開店して以来、旧来の作業客からは「俺たちのワークマンはどこへいった」と不安の声が上がったという。アウトドアやスポーツなど多様なジャンルに展開しているが、それでも土屋専務は「ワークマンの製品はあくまでも作業着」という姿勢を貫く。その証拠に、アウトドア向けブランド「Field Core」の新製品となるモッズコートにも、左胸の見えない部分に工具を収納できる多機能シークレットポケットを付けている。
 

 多機能シークレットポケットを搭載したモッズコート。  「ワークマンの製品はあくまでも作業着」(土屋専務)

「すべての製品が作業着から生まれた」との言葉どおり、ことしは同社にとって1つの転機になった。「作業服のスタイリッシュ化の流れが決定的になり、その“頂点”とも言えるデニムの作業服が当たり前」になる中で、強みとするベーシックな汎用作業服では、35歳以下の若い作業客のニーズを取り込むのは難しいと判断。9月に「PRO CORE」を打ち出した。
 先行する国内メーカーが年間で最大10万-15万着のスタイリッシュ作業服を販売しているのに対し、同社の生産量120万着は桁外れの数だ。国内の技能労働者330万人という市場に向けて「思い切り格好いいものを出していく」と力を込める。12月にはその新業態店「WORKMAN Pro」を板橋区内に初出店する。「職人のイメージに合ったハードな看板を掲げるなど店内の見せ方にも特長を出しながら、将来的には首都圏で200、300店と店舗を増やしていく」考えだ。

 同社が成功を収めた要因の1つに、19年から本格的に開始したアンバサダー制度が挙げられる。よくあるインフルエンサーマーケティングのように芸能人を起用した一過性のものではなく、特定分野に精通したインフルエンサーらが商品開発や情報発信に参画する取り組みで、同社のターゲット層にマッチした商品開発の実現を支えている。
 スタイリッシュ作業服にはこれまでの汎用作業服ほど社内に知見がなく、職人経験のあるアンバサダーの山下幸一氏の提案を“丸呑み”にして開発した。「ユーチューバーでもブロガーでも、その道のプロの方の意見をアリバイづくりでなく本気で取り入れる。フォロワーを数万単位で抱える影響力のあるアンバサダーから意見を聞く方が正確なアイデアが出る。(こうした意見を生かした製品は)実際に新製品の3分の1を占めている」
 開発に携わったアンバサダーは独占的に先行してネットで製品を発表する。後日配信するワークマンのリリースにはアンバサダーが製品発表したページのQRコードを付ける。アンバサダーのアクセス数やフォロワー数が伸び、還元につながる仕組みになっている。
 土屋専務は「プロの職人と一般客の間を行ったり来たりしながら製品をブラッシュアップしている。WORKMAN Proは若い職人に向けて、スタイリッシュかつ高品質の作業着をそろえるので期待してほしい」とメッセージを送る。



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