宮内庁は、東京都千代田区の皇居東御苑内にある「皇居三の丸尚蔵館」の内部を公開した。2019年11月に着工し、ことし1月に完了した第一期工事によって美術品などの収蔵・展示・修復機能のほか、バリアフリー機能などを強化した。搬入・搬出時に美術品などにかかる負担を少なくするため、動線計画にも工夫を凝らした。専用のトラックヤードや一時保管室、記録のための写真/調査室などを設けた。
【設計=日建設計、施工=清水建設】
施設は、皇室が国に寄贈した美術品など約9800点を収蔵し、その一部を展示する。規模は、RC一部SRC造地下1階地上3階建て延べ約7700㎡。免震構造を採用している。高さは21.48m。
地下に機械室、地上には二つの展示室と八つの収蔵室などを設置した。展示室はプロジェクターによる映像の投影が可能となっており、収蔵室は作品の特性に応じて適正な温度と湿度を保つようにしている。有識者懇談会の意見をデザインに反映し、皇居に見られる「ひし形」のモチーフを施設の随所に採用。内装は訪問者が温かみを感じる丸みのある天井とし、外観は皇室を想起できるような色彩を採用している。第一期工事の設計は日建設計、施工は清水建設が担当した。
現在は11月3日の開館に向け準備を進めている。今後は、カフェなどの機能を備えた休憩施設を建設する予定だ。2026年の全体完成を目指す。
宮内庁の担当者は「これまでに約2000点の収蔵品を公開してきた。まだ一般に披露していない作品もあるので、開館を楽しみにしてほしい」と語った。