◆初代館長の理念「1冊でも多くの本を届けたい」
東京都日野市にある公立図書館「日野市立中央図書館」が4月28日、開館50周年を迎えた。1970年代の都市化が進行する地域で、「1冊でも多くの本を届けたい」との思いで建設した中央図書館は、初代館長前川恒雄の理念を踏まえ、建築家・鬼頭梓が設計した。施工者は冨士工(東京都中央区)。
日本の図書館の設計に影響を与えたとされる同図書館の規模は、RC造地下1階地上2階建て延べ2220㎡。蔵書数は約33万3000冊。前川が唱えた『歳月を経るほど美しくなる図書館』を目指し、外観に赤れんがを採用した。隣接する中庭や、小高い丘となっている地形との調和も意識している。中庭に面する1、2階の一部はガラスの吹き抜けの窓になっており、晴れの日はもちろん、雨の日にも趣のある景色を楽しむことができる。
50周年を記念し、館内に図書館の歴史などをまとめた特設展示コーナーを設けた。期間は5月31日まで。1973年の完成時に“現代建築の昇華”と、その姿を伝えた日刊建設通信新聞をはじめとする各種新聞や、建築雑誌などの媒体資料を展示している。
青石和久副館長は「この図書館ができるまで、移動図書館『ひまわり号』が主な役割を担っていた。市民から常設の図書館がほしいという声が上がり、建設したと聞いている。自然に寄り添った素晴らしい施設だ」と話す。
所在地は豊田2-49-2。