【100年先の実験場】72万平米の品川開発 JR東日本 | 建設通信新聞Digital

5月6日 月曜日

公式ブログ

【100年先の実験場】72万平米の品川開発 JR東日本

53 Playable Park全体パース(JR東日本提供)


 JR東日本は、区域面積約9.5ha、 総延べ約72万㎡超の大規模複合開発「品川開発プロジェクト」を“100年先の豊かなくらしのための実験場”に位置付ける。日本で最初に鉄道が走ったイノベーションの地“高輪”から、地球規模の課題解決に挑戦する。駅とまちが一体となる壮大な実験場として、「ゼロカーボン・サステナブルの挑戦」「自律分散型社会の実現」「次世代モビリティーの実装」を重点テーマとし、まちびらきの前後の両方から実証実験などを進める。

 ゼロカーボン・サステナブルでは、環境先導のまちづくりとしてCO2排出量の実質ゼロを目指す。都内最大級約4haの駅や広場からなる遊び場「53 Playable Park」には、約2.7haの緑を整備する。

 複合棟IIの地下には地域冷暖房施設を設け、国内最大級の蓄熱槽を導入する。建物内エリアをゾーン別に細分化して空調設備を運転制御する「デマンドレスポンス・ゾーン別空調管理システム」により、高度で最適なエネルギー利用を目指す。基盤インフラの利用も視野に入れた水素の利活用にも取り組む。

 廃棄される製品や原材料などを資源として利活用する「サーキュラーエコノミー」の実現に向け、東日本エリア初のビルイン型バイオガス設備を導入する。

 場所や時間にとらわれない“分散型スマートシティ”の実現に向けては、スタートアップ企業など多様なパートナーと実証実験に取り組む。まちの設備や人に関するデータを収集・分析するデータ基盤(都市OS)を構築し、ロボットによる混雑回避や回遊販売を可能にする。デジタルツイン空間に作成した3D都市モデル上に人流データを掛け合わせ、防災シミュレーションなどに活用する。

 複合棟Iには、インキュベーション施設や環境生命科学ラボ(仮称)が入居する。企業の新規事業部門が中心となり、産官学連携のオープンイノベーションで生活者視点のサービスを創出する。

 次世代モビリティーの実装も目指す。JR東日本の実証実験には、人手不足の解消に不可欠なドローン、非接触・非対面ロボットや都市OS連動ロボット、シームレスな移動を可能にする電動車を活用した小型移動サービス「グリーンスローモビリティ」などがある。新技術を実際の生活やビジネスに取り入れ、利便性を高める方針だ。