【BIM2023⑬】寄稿 国土交通省官庁営繕部整備課施設評価室/新営設計、工事にEIRを原則適用 | 建設通信新聞Digital

5月18日 土曜日

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【BIM2023⑬】寄稿 国土交通省官庁営繕部整備課施設評価室/新営設計、工事にEIRを原則適用

「官庁営繕事業におけるBIM活用実施要領」制定

 建築分野におけるBIM活用の進展を目指し、建築BIM推進会議において官民が一体となって幅広い検討が進められています。

 官庁営繕部では、建築BIM推進会議における検討を踏まえ、設計業務および工事の品質確保、事業円滑化および生産性向上を図ることを目的に、官庁営繕事業におけるBIM活用を推進しています。

 官庁営繕事業におけるBIM活用の取り組みとして、2023年度より、全ての新営設計業務および新営工事にBIMに関する発注要件であるEIRを原則適用しています(図1)。EIRでは、3000㎡以上の新営設計業務にはBIM活用の指定項目を、全ての新営設計業務および新営工事にはBIM活用の推奨項目を設定します。また、工事受注者へ設計BIMデータを説明した上で貸与する旨を明示します。

図1


 EIRに設定するBIM活用の項目を図2に示します。3000㎡以上の新営設計業務では赤字の2項目、基本設計の外観・内観の提示、実施設計図書(一般図等)の作成を指定項目、それ以外の表に掲げる項目を推奨項目として設定します。また、3000㎡未満の新営設計業務および全ての新営工事では表に掲げる全ての項目を推奨項目として設定します。

図2


 成果品については、設計業務において指定項目として実施設計図書の作成を設定した場合に、設計BIMデータ等の提出を求めます。

 設計BIMデータを工事受注者へ貸与できる場合は、BIM伝達会議を開催して工事受注者へ設計BIMデータを説明した上で貸与することとします。

 受発注者双方のBIM活用の円滑化・効率化を図ることを目的に定めている技術基準について、EIRの原則適用に合わせ、「官庁営繕事業における一貫したBIM活用に関する検討会」(座長:芝浦工業大学 蟹澤宏剛教授)においてご意見をいただきながら制改定を行いました。「官庁営繕事業におけるBIM活用ガイドライン」については改定を行い、ガイドライン名称を変更するとともに、BIM活用の考え方を明記しました。また、「官庁営繕事業におけるBIM活用実施要領」の新規制定を行い、BIM活用に係る手続、EIRの作成要領等を明記しました。

 また、23年度より積算業務におけるBIMの効果的な活用方法を検討するため、BIMデータの形状情報や部材の仕様など属性情報等を活用する「BIM連携積算」を新営設計業務において試行しています(図3)。

図3


 試行を通じて効果と課題を検証するとともに、得られた知見をガイドライン等に反映させることにより、取り組みの充実を図ってまいります。

 官庁営繕部では、業界団体とも連携し、引き続きBIM活用にかかる取り組みを推進していく予定です。



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