官庁営繕事業におけるBIM活用の取り組み
◆寄稿 国土交通省大臣官房官庁営繕部整備課施設評価・デジタル高度化推進室
国土交通省官庁営繕部では、建築BIM推進会議における検討を踏まえ、設計業務および工事の品質確保、事業円滑化および生産性向上を図ることを目的に、官庁営繕事業におけるBIM活用を推進しています。
官庁営繕事業におけるBIM活用の取り組みとして、原則として全ての新営設計業務および新営工事にBIMに関する発注要件であるEIRを適用しています。EIRでは、3000㎡以上の新営設計業務にはBIM活用の指定項目を、全ての新営設計業務および新営工事にはBIM活用の推奨項目を設定しています。また、工事受注者へ設計BIMデータを説明した上で貸与する旨を記載しています。
3000㎡以上の新営設計業務では2項目(基本設計段階での建築物の外観・内観の提示、実施設計図書(一般図等)の作成)を指定項目、それ以外の表に掲げる項目を推奨項目として設定します。また、3000㎡未満の新営設計業務および全ての新営工事では表に掲げる項目を(新営設計業務においては、3000㎡以上の新営設計業務の場合の指定項目としている項目も含めて)推奨項目として設定します。
成果品については、設計業務において指定項目として実施設計図書の作成を設定した場合に、設計BIMデータおよび設計BIMデータ説明資料の提出を求めています。
また、設計BIMデータについては、BIM伝達会議を開催して工事受注者へ設計BIMデータを説明し、工事受注者が設計BIMデータを活用する場合に貸与することとしています。
受発注者双方のBIM活用の円滑化・効率化を図ることを目的に定めている技術基準について、これまでのBIM活用から得られた知見等も踏まえ、2023年度に改定を行いました。
『官庁営繕事業におけるBIM活用ガイドライン』については、従前、5章に設計段階、6章に施工段階のBIM活用の方法を例示していた構成を、5章「設計段階におけるBIM活用例」、6章「施工段階におけるBIM活用例」、7章「維持管理段階に向けた資料等の作成へのBIM活用例」に見直し、これらの各章において示すBIM活用例を拡充しました。
『官庁営繕事業におけるBIM活用実施要領』については、ガイドラインの改定にあわせて見直すとともに、EIRに設定するBIM活用の項目を拡充し、新営設計業務においては基本設計図書(一部)の作成を、工事においては施工図の作成、完成図の作成、建築物利用説明書に用いる図の作成を推奨項目に追加しました。
また、23年度より積算業務におけるBIMの効果的な活用方法を検討するため、BIMデータの形状情報や部材の仕様など属性情報等を活用する「BIM連携積算」を新営設計業務において試行しています。
BIM連携積算の試行の設計担当者や積算担当者等に対してヒアリングを実施し、効果や課題について調査してまいりました。ヒアリングにより、設計のBIMデータを作成する前に、設計担当者と積算担当者との間で調整を図り、設計のBIMデータの作成範囲、BIM連携積算に利用する形状情報・属性情報の範囲等を整理することの必要性などが確認できました。この結果から、試行要領を改訂し、留意事項等の充実を図っています。