【施工BIMのインパクト2023②】官庁営繕におけるBIM活用の取組 設計、施工にEIRを原則適用 | 建設通信新聞Digital

5月17日 金曜日

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【施工BIMのインパクト2023②】官庁営繕におけるBIM活用の取組 設計、施工にEIRを原則適用

国土交通省大臣官房官庁営繕部整備課施設評価室長 滝本悦郎氏


 国土交通省の官庁営繕事業では、BIM活用を試行段階から一歩進めるため、2023年3月にガイドラインを改定するとともに、実施要領を新規制定しました。

 ガイドラインでは、BIM活用の目的を明確化するとともに、事業にBIMを適用する場合はBIM活用に関する発注要件であるEIRを提示することなどを規定しました。実施要領では、設計と施工の分離発注などの公共建築の特徴を踏まえたワークフローを整理し、その流れに従ってBIM活用に係る受発注者間の手続きを規定しました。また、EIRの作成要領を規定しました。

 ガイドライン等の制改定と合わせて、23年度から官庁営繕事業の全ての新営の設計業務と工事においてEIRを原則適用することとしました。EIRでは、延べ面積3000㎡以上の新営設計業務にBIMの活用を必須とする指定項目を設定するとともに、全ての新営の設計業務と工事にBIM活用の推奨項目を設定しました。また、設計段階で作成したBIMデータについて、工事受注者が活用を希望する場合は貸与する枠組みを用意しました。

 EIR全面適用の取り組みに加え、23年度からBIM連携積算の試行を一部の新営設計業務において開始しました。BIMデータから取得した情報に積算に必要な条件などを追加して積算数量の算出を試行的に行う取り組みで、BIMを効率的に活用するためのモデリング・入力ルール、ワークフローの検証などを予定しています。

 EIRにおいて設定する指定項目の一点目、建築物の外観および内観の提示は、基本設計からBIMを活用して設計に着手することを前提に、意匠のBIMモデルを基本設計後半段階に発注者へ提示することを求めるものです。完成形のイメージを3次元で確認することで、発注者との合意形成の円滑化を目的とするものです。二点目の実施設計図書(一般図等)の作成は、実施設計図書をBIMモデルから作成することで整合のとれた図面作成が期待でき、発注者の設計審査の円滑化を目的とするものです。

 推奨項目は、これまでのBIM活用の試行において効果が確認できた項目を抽出しており、受注者によるBIM活用を促進することを目的として提示しています。推奨項目の実施の判断は、受注者の任意となります。

 最後に、今後の取り組みですが、一点目はBIM活用の取り組みの定着です。このため、指定項目の内容を設計者が実施する際の参考となるように、BIMデータ例の作成を進めます。設計者を念頭に置いた取り組みですが、工事契約後に貸与される設計BIMデータがどのようなものかという観点で、施工者にも参考になると考えています。

 二点目は、BIM活用のさらなる促進です。建築BIM推進会議のタスクフォースでは、BIMによる確認申請やデータ連携環境の整備に向けて議論されています。各タスクフォースの成果などをEIRに取り込むことで、計画通知に対応したBIMデータや、データ連携を念頭に置いた標準化された設計情報が作成され、施工段階で活用できるような環境の構築につなげていきたいと思います。


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