【記者座談会】九州北部豪雨で2次災害も懸念 応急復旧に随契の活用推奨 | 建設通信新聞Digital

5月4日 土曜日

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【記者座談会】九州北部豪雨で2次災害も懸念 応急復旧に随契の活用推奨

九州整備局が管理する河川施設は30カ所で堤防・護岸などが崩壊・損傷した


A 九州北部で甚大な被害を起こした豪雨から、10日近くになる。被害は拡大している。一方、復旧への動きは、どうなっているのか。
B 台風3号が通過し、大きな被害もなく安心したその矢先の大雨だった。記録的短時間大雨警報は10数回、大雨特別警報も九州で初めて発表される事態となった。豪雨災害の突発性に改めて脅威を覚えたよ。
C 死者は13日現在で29人となっている。被害が大きかった福岡県朝倉市などでは依然として20人を超す人たちの安否が不明だ。現地は今なお捜索が進められている。
B 九州地方整備局によると、同局管理の河川施設は30カ所で堤防・護岸などが崩壊・損傷した。道路は、土砂崩壊によって福岡県東峰村や大分県日田市などで寸断され、集落の孤立を招いた。
C 国土交通省のTEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)は九州整備局のほか全国から派遣された約200人が現地で被害の全容把握を急いでいる。
B 河川では被害が大きかった4カ所で復旧工事を進め、12日までに2カ所が完了。道路は福岡県嘉麻市から東峰村までの国道211号(県管理)の21㎞区間で道路啓開を実施中で、16日には緊急車両の通行が可能となる予定だ。
A 梅雨明けはまだのようだね。
B 専門家は、山は多くの水を含んだ状態で、土砂崩れなどによる2次災害への注意を呼び掛けている。
C 建設業は、各地で道路啓開の作業に当たり、建設業団体も応急復旧に向けて情報収集などを進めている。2次災害が懸念される中での作業となる。どうか、安全にだけは気をつけてほしい。
A 一方、行政はインフラの早期復旧に取り組んでいくことが至上命題となる。
D 特にその緊急性から契約手続きにスピード感が求められる復旧・復興のあり方は、2011年の「3.11」以降、マンパワー不足に悩む小規模な地方自治体を中心に、発注者・管理者である行政にとっても大きな課題になっている。
E 国交省が、東日本大震災を始めとする過去の災害事例や、復旧工事の発注経緯(契約方式の適用状況)の分析をもとに策定した『災害復旧における入札契約方式の適用ガイドライン』は、自治体を含めたインフラ管理者にとって、今後の取り組みの後押しになるのではないか。
F ガイドラインは、緊急性を重視して、発災直後の応急復旧に地域企業との「随意契約」の活用を推奨している点がポイントになっている。参考資料として、随意契約を行う際の「理由書」のひな型を収録するなど、随契の理由を示すことに二の足を踏む自治体にとっては支援ツールの意味合いもある。
E 「地域の守り手」である建設企業の積極的な活用を打ち出しているというわけか。
F 緊急性を踏まえて、災害協定を締結している業界団体からの情報提供によって、被災個所や近隣エリアでの経験や実績を持つ会員企業を積極的に活用するなど、早期かつ確実に施工できる建設企業を確保することを重視すべきという判断だ。
D 指名競争入札を採用する場合も、指名者数にこだわる必要がないことを明記している。これまで競争性の観点から、仮に応急復旧であっても随意契約や指名競争入札の採用に二の足を踏むケースもあったことを考えれば、ガイドラインという契約手法を選択するための“目安”が示されたことは大きい。

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