【記者座談会】国交省幹部人事が発令/品川駅西口デッキに大屋根 | 建設通信新聞Digital

5月7日 火曜日

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【記者座談会】国交省幹部人事が発令/品川駅西口デッキに大屋根

◆10年後見据え強靱な政策集団目指す

A 国土交通省の幹部人事が4日に発令されたね。

B 事務次官には、和田信貴国土交通審議官が就任した。事務次官は旧建設省事務系、旧建設省技術系、旧運輸省事務系が持ち回りで就く慣例があり、旧建設省事務系の経歴を持つ和田氏の就任は、順当な人事異動だったように思える。

C 就任のあいさつでは、国交省発足後に入省した世代が局長に就き始める約10年後に向けて、クオリティーが高く、強靱でまとまった政策集団、政策実施集団を目指す方針を語っている。

B 建設業を所管する不動産・建設経済局長には塩見英之住宅局長が就いた。現在まで11年間続いている設計労務単価上昇の流れをつくった建設市場整備課労働資材対策室長としての実績もあり、建設業界の処遇改善への手腕に注目が集まる。

A 技術方のトップである吉岡幹夫技監が留任したけれど、技監を3年務めた例はあるのかな。

B 谷口博昭氏のように技監を3年務めて事務次官に就任した前例もある。来年の人事異動を見据えているのかもしれない。地方自治体や地方業界団体の声にも耳を傾け、現場に寄り添っていたという吉岡技監に対する期待が高いゆえのことだろう。

D 出先機関を見ると、北海道開発局、関東、北陸、中部、近畿、中国、九州の整備局で局長が交代した。四国も11日付で新たな局長が就任することが決まっている。見坂茂範官房技術調査課長は近畿整備局長に、見坂氏の前任の技術調査課長だった森戸義貴中国整備局長は九州整備局長に横滑りした。北陸整備局は、15年ぶりの港湾系の局長となった。

まちの履歴継承し“日本の玄関口”へ

品川駅西口基盤整備のイメージ図 (提供:国土交通省)

A ところで、品川駅西口基盤整備のデザインコンセプトやデッキのイメージが公表されたね。

B 国道号上空を活用する駅前広場のデザインコンセプトは『ミチウエ&スクエア&品川』で、世界の人々が集い交わる未来型の駅前空間を目指している。

C イメージ図や国土交通省提供の映像を見ると、デッキ上に設けるシンボリックな大屋根が真っ先に目に飛び込んでくる。以前から屋根や庇(ひさし)が建設されることは分かっていたが、今回初めて具体的なイメージが示された。

D デッキも広い。幅が約55m、長さは約400mもあり、全体完成後の面積は約2haに及ぶ。これだけの歩行者空間を道路区域内に整備することは全国的にも珍しい。

A 具体的にはどのような施設になるのかな。

C 多様で階層的な交通モードをシームレスでつなぐ施設になる。自動車やバス、タクシーなどはもちろん、BRT(バス高速輸送システム)や乗り合い型の新たなモビリティーにも対応できる動線を確保する。

B 品川は、古くから交通の要衝として知られ、東海道の宿場町として栄えた。明治時代には品川駅が開業し、東京の玄関口となった。そして今度はリニア中央新幹線の開業を控えており、羽田空港にアクセスする“日本の玄関口”となる。

C 災害時は、周辺事業者と連携して防災機能も発揮する。さまざまな情報提供を行うほか、一時避難場所や救急・救援の活動拠点となる。

D デッキを活用して脱炭素社会の実現に向けたGX(グリーントランスフォーメーション)の推進や新技術導入も目指している。

A 江戸時代より交通や情報・人・技術が集まり、時代のニーズに応えてきた“まちの履歴”を継承する品川から今後も目が離せないね。

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