【記者座談会】国交省の24年度予算概算要求/宇都宮・芳賀LRT開業 | 建設通信新聞Digital

5月18日 土曜日

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【記者座談会】国交省の24年度予算概算要求/宇都宮・芳賀LRT開業

◆港湾・空港整備予算に注目

A 8月31日に2024年度予算の概算要求提出が締め切られた。国土交通省の要求内容は。

B 一般会計は前年度比19.1%増、公共事業関係費は19.0%増だった。公共事業関係費を含む裁量的経費の要求額を前年度予算に比べて1割削減することで、削減分の3倍までを政府が指定する重要政策の予算として要求できる重要政策推進枠を目いっぱい活用したため、20%に近い伸び率になった。

C 生コンやセメントなどの資材価格が高止まりし、事業量の目減りが懸念される中、資材価格高騰を踏まえた公共事業の必要経費を2年連続で事項要求したね。

D 斉藤鉄夫国交相は8月25日の記者会見で、公共事業を含む必要な予算の確保に全力で取り組むとの決意を表明した。

A 台湾有事を想定した国民保護の体制づくりや防衛力強化に向けて、港湾や空港を整備し、自衛隊と海上保安庁の利用を可能にするという話があるけど、どこまで話が進んでいるの。

B 8月25日に関係閣僚会議の初会合が開かれ、鹿児島県や沖縄県の南西諸島を中心とした地域を対象として、民生と防衛の両方で利用するデュアルユースを前提に、空港や港湾などを整備する考え方が示された。空港の滑走路延長やエプロン整備、港湾の岸壁・航路整備が想定されている。

C 港湾と空港を所管する国交省は必要経費を事項要求にしたね。予算編成過程で検討されることになる。

D デュアルユースにより、公共事業関係費が増額になるか。24年度予算案が決まる年末までに、予算獲得に向けた関係府省庁間の攻防が繰り広げられる見通しで、どのように着地するか注目されるね。

初の全線新設、地方のモデルに

路面電車として75年ぶりの開業になった宇都宮・芳賀LRT


A 話は変わるけど、宇都宮市と栃木県芳賀町のLRT(次世代型路面電車)が8月26日に開通した。

B JR宇都宮駅東口と芳賀町の工業団地までの約14.6㎞を結ぶ。全国初の全線新設路線で、新しい路面電車の開業は75年ぶりだったから、注目を集めている。

C 構想から30年で実現した。車から公共交通機関利用へ転換してもらい、渋滞解消につなげたいようだ。

D LRTで使用する電力は全て再生可能エネルギーで賄うという。市などが出資した地域新電力の宇都宮ライトパワーが市内の太陽光やバイオマス発電エネルギーを提供する。市はLRTに乗ると脱炭素にも貢献できるとPRしている。

A 一方で、昨年11月には試運転中に脱線事故が起きた。車や歩行者の安全対策も課題になりそうだね。

B 開業後には多くの人が集まったこともあり、ホームに人があふれていたようだ。公共交通として安全確保は最優先に取り組んでほしい。

D 安全な運行とともに、人口が減少し、高齢化が進む中でLRTを軸とするコンパクトなまちづくりが進むかも注目されているね。

C 既に、沿線地域では住宅地や商業施設の開発が進んでいる。沿線にある宇都宮市郊外の「ゆいの杜」地区では、3年前に市内で26年ぶりとなる小学校も開校した。

A 宇都宮市は、JR宇都宮駅西側へのLRT延伸も計画している。

B LRT開業の2日後には、宇都宮駅西口近くで再開発事業が着工した。駅西側の開発が活発化して、延伸への機運が高まることが期待される。

D 全国の地方都市のモデルとして今後のまちづくりがどうなるか、見ていきたいね。

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