【賃貸不動産経営管理士】国家資格化など経て建設業界の受験者増 | 建設通信新聞Digital

5月4日 土曜日

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【賃貸不動産経営管理士】国家資格化など経て建設業界の受験者増

塩見会長

 賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(以下、賃貸住宅管理業法)の施行に伴い、2021年に国家資格となった「賃貸不動産経営管理士」が今、建設業界から注目されている。民間資格の時代を含めると受験申込者数は直近8年で8倍に増え、22年度は約3万5000人の受験申込者があった。産業別では建設業界の受験者が不動産業界に次いで多い同資格について、資格を運営する賃貸不動産経営管理士協議会の塩見紀昭会長に話を聞いた。

――賃貸不動産経営管理士とは、どのような資格ですか

 賃貸不動産経営管理士は賃貸不動産の管理を専門とする国家資格です。13年に民間資格として出発しましたが、21年に賃貸住宅管理業法が施行したことに伴い、国家資格になりました。不動産業界で最も新しい国家資格です。

 国家資格になった背景の一つに管理業界のめまぐるしい変化がありました。外国人の増加や民法の改正、人口減少に伴う空室の増加などにより、今までオーナー自身で行ってきた管理業務が難化・高度化し、自ら賃貸住宅を管理することが難しくなりました。その結果、不動産会社にその業務を委託するオーナーが増えました。

 国土交通省が19年に発表したデータによると、約20年前は自身で業務を行っているオーナー(自主管理)が約8割で委託管理が約2割でしたが、直近はオーナー自身で管理を行うのが2割、不動産会社に委託するのが8割と数字が逆転しました。

住宅オーナーによる委託が増加


 業務委託が増加する一方で、オーナーと不動産会社とのトラブル、特に一部の悪質なサブリース業者によるトラブルが社会問題化したことを背景に、賃貸住宅管理業法が21年に施行しました。結果として、賃貸住宅管理業法において管理業務を行う賃貸住宅管理業者に『業務管理者』の設置を義務化し、その業務管理者になる要件に『賃貸不動産経営管理士』が明記されたことで、賃貸不動産経営管理士が国家資格となりました。

――建設業界に勤める人が資格を取得するメリットは

 建設業界にお勤めの方には管理に関わる方や関連する業務に携わる方も多いと思います。用地取得、土地・建物活用の営業をしている方であれば、『当社は売るだけではなく、販売後の建物管理まで考えてお客さまに提案しています』と言われる際に、不動産管理の知識があるという一つの証明として賃貸不動産経営管理士をご活用いただくことができると思います。

受験申込者数の推移


 また賃貸住宅管理業は、ストックビジネスとして魅力のある業務だと思います。物件の管理をオーナーから受託する場合、『管理手数料』として毎月安定した収入がありますので、会社経営やビジネスを安定させるという視点から見ると、賃貸住宅管理業界は非常に良い業界だと私は思っています。

 建設業界でも『管理』に注目している企業が多いと聞いています。建設業界は景気などの外的要因に左右されやすいと言われている中で、安定したストックビジネスである『賃貸住宅管理』に力を入れている、あるいは入れたいという企業が増えており、その時に管理のプロである賃貸不動産経営管理士を勉強し取得すれば管理業務を体系的に学べるほか、賃貸住宅管理に関わる法令や税務まで幅広く学ぶことができます。適正かつコンプライアンスを意識した業務を行うことが可能になり、新たなビジネス、業界に参入できるチャンスが生まれるというわけです。

――資格を取得するのに要件などはありますか

 どなたでも受験は可能です。年齢、性別、実務経験などに制約はありません。不動産管理に関する知識だけでなく、建物の設備や構造なども試験範囲のため、建設業界にお勤めの方は、その知識を活かせるかもしれません。ぜひ、受験をご検討ください。

 

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