【茨城・つくばみらいの高砂熱学イノベーションC】ASHRAEアワードアジア代表に、全世界最優秀選考へ | 建設通信新聞Digital

5月17日 金曜日

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【茨城・つくばみらいの高砂熱学イノベーションC】ASHRAEアワードアジア代表に、全世界最優秀選考へ

施設全景


 高砂熱学工業、三菱地所設計、田辺新一早大教授、赤司泰義東大教授が設計、評価などに携わった「高砂熱学イノベーションセンター」(茨城県つくばみらい市)が、空気調和・冷暖房に関する世界最大の国際学会である米国暖房冷凍空調学会(ASHRAE)の環境建築技術賞でアジア地域最優秀賞に輝いた。今後、アジア地域代表として全世界最優秀選考に臨む。

 大容量蓄電池用エネルギーマネジメントシステムをはじめとする新開発技術などが高く評価された。同システムでは、運用スケジュールや天候などの情報から数日先の敷地内電力負荷と日射量などを予測し、施設の電力需要と発電量を想定する。これを基に蓄電池の最適制御を実施し、オフィス棟の電力オフグリッド化を実現。外部電力網に頼らない施設運用を可能にした。

 地下水熱を利用した空調の実現を目指し、執務スペースには二つの空調システムを導入した。このうちの一つであるシステム天井対応放射パネルでは、従来の画一的な室内制御ではなく、負荷分布に応じた細かな制御を可能にするシステムを開発した。パネルの表面温度に応じた送水制御で、冷温水の搬送動力を削減した。

 これに加えて3種類のパーソナル空調機を開発した。向かい合うデスクの間に設けた「パーティション型」、テーブル天板下に設置可能な「デスク型」に加えて、「天井設置型」の3タイプをワーカーが調整し、個人の温度感覚に合わせた快適な執務空間を創出できる。

 太陽光発電とバイオマスガス化発電の再生可能エネルギーの積極的な利用と、システムの高効率化への改善を重ねた結果、オフィス棟では、発電量を加味すると運用時のCO2排出量は年間でマイナス159tとなり、完全なCO2排出量ゼロを達成した。敷地全体の使用電力には、水力発電由来のグリーン電力を購入し、カーボンニュートラルを実現している。

 同センターは、CASBEE(建築環境総合性能評価システム)ウェルネスオフィスの最高評価であるSランクのほか、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)の「五つ星」などを取得している。受賞した4者が検証・評価を担当した。このうち、高砂熱学工業は計画・開発・施工、三菱地所設計は基本設計および実施設計(空調、衛生、電気)・監理も担った。

 

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