【BIM/CIM未来図DX】ビッグ測量設計(4) | 建設通信新聞Digital

5月21日 火曜日

B・C・I 未来図

【BIM/CIM未来図DX】ビッグ測量設計(4)

使い勝手良い統合モデル提示/新技術に挑戦する姿勢が成長後押し

 20年前に導入した3次元レーザー計測がビッグ測量設計(東京都台東区)にBIM/CIM導入の流れをもたらした。当時はまだ日本に数台しか導入されていなかった3次元レーザー計測の有効性を目の当たりにした村田豊世社長は、迷うことなく導入を決めた。

 1980年に創業した同社は、難しい仕事や、時間に余裕のない仕事に対しても前向きに取り組む「思いやりの心」を持ち、常に技術の向上を心掛け、チャレンジの精神で失敗を恐れず常に新しい技術を習得しながら成長してきた。

 いまでは計測現場で欠かせないツールの一つになっている3次元スキャンカメラ『Matterport』も村田社長が展示会で目を付け、購入に踏み切った。最近では、3次元プリンターやドローンも自社の業務に活用可能と考え、導入を始めた。各部門も新技術を自らのものにしようと前向きだ。そうした社員一人ひとりの挑戦する姿勢が同社の成長を後押ししている。

 3次元レーザー計測で取得した点群データを統合モデル化する際に利用しているオートデスク製品については『AEC COLLECTION』というセットパッケージを15アカウント契約しており、このうち空間情報事業部には8アカウントを配分している。これまではコンセプトデザインソフト『InfraWorks』やBIM/CIM設計ソフト『Civil 3D』、アニメーションソフト『3ds MAX』などを活用してきたが、23年度からはBIMソフト『Revit』を積極的に導入することも決めた。

使い始めたRevitの作業画面


 国土交通省のBIM/CIM原則化を背景に、土木構造物では鉄筋の属性まで含めた詳細なBIM/CIMモデルの要求が拡大する可能性がある。これまでLOD(モデル詳細度)400の業務要求については外注をしていた。空間デザイン課の由井浩二課長は「これからは社内で全て対応していきたい」と先を見据え、Revitの担当として2人の社員を任命した。

 近年は、強みの分野でもある鉄道や空港で耐震補強の需要が拡大傾向にあり、元請けの建設会社や建設コンサルタントから業務支援を求められるケースが増えている。3次元レーザー計測の強みが大いに発揮できる流れが強まり、呼応するように点群データと3次元モデルデータの統合化依頼も増えている。

 耐震補強の現況調査では3次元レーザー計測に加え、より詳しく対象物の状況をピンポイントで把握する手段として近接写真測量を導入するケースも目立ってきた。同事業部の清水康晴次長は「目的に合った技術をより効果的に使うことが当社の強みであり、新技術の導入機会も多く、これからも積極的に試し、新たな道を切り開いていきたい」と語る。

近接写真測量の導入も拡大


 国のインフラDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を背景に、企業のDX対応も着実に広がりを見せており、元請け企業から具体的にどのような3次元レーザー活用ができるかを相談されるケースも増えてきた。事業者側と連携して実証実験に取り組むプロジェクトもある。空間情報課の伊藤紀剛課長は「対象現場がより大規模になっていることもあり、より簡単に使い勝手の良い統合モデルを提示できるかが、われわれの使命」と説明する。

 3次元レーザー計測の導入を機に、同社の進化が始まった。尾形部長は「デジタル化の進展により、われわれの活動の幅は着実に広がっている」と力を込める。社名にある「ビッグ」とは、より大きく成長していくとの意味が込められている。BIM/CIMの時代が色濃くなるにつれ、同社の存在感はより輝きを増している。

(左から)清水氏、由井氏、伊藤氏、尾形氏



【B・C・I 未来図】ほかの記事はこちらから



建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら