【古民家再生】名古屋市の「旧竹田家はなれ」がカフェに クラウドファンディングで資金調達 | 建設通信新聞Digital

5月2日 木曜日

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【古民家再生】名古屋市の「旧竹田家はなれ」がカフェに クラウドファンディングで資金調達

カフェ&バル庄九郎

 4大都市における街道沿いの町並みとして初めて、2016年7月に文化庁から重要伝統的建造物群保存地区に選定された名古屋市緑区有松の地で、空き家となっていた築約170年の古民家を再生したカフェが地域の新たなよりどころとして人気を博している。
 NPO法人コンソーシアム有松鳴海絞(中村俶子理事長)が、地域の伝統産業である「有松絞り」の開祖ゆかりの歴史的建造物である旧竹田家はなれを改修し、2月にオープンした「カフェ&バル庄九郎」だ。クラウドファンディングにより約1カ月で500万円余の資金を調達。目標金額を達成したことから、名古屋市の「なごや歴史的建造物保存活用工事助成(クラウドファンディング活用型)」による助成第1号として採択されたことも話題を呼んだ。
 旧竹田家はなれは当初、大正期の建物と思われていたが、改装工事を進める中で『弘化三(1846)年』と書かれた畳の裏板も見つかったという。名工大夏目欣昇研究室の学生も参加して進めた改装工事では、歴史的建造物の保存活用のモデルケースとなるよう、有松絞りを使用した照明や音楽映像などもインテリア計画に取り入れ、伝統の中に現代的なフォルムを融合させる試みにも取り組んだ。床はフローリングとし、耐震性能も高めている。

オーナーの中村さん(左)

 中村理事長は「先日、店内でチェロの演奏会を開いたが、和と洋の文化の調和が体現されたものとなり、観客にも好評でした」と目を細める。
 慶長13(1608)年東海道筋に有松絞りの開祖・竹田庄九郎を始め8人が移り住んで誕生した有松の町。「旅人の安全を守るという文化がいまも息づいている。多くの人に本物の歴史と文化、まちなみを味わってもらいたい」と中村理事長は、さらなる地域の魅力発信に意気込む。

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