【BIM/CIM原則化元年⑥】原則CIM適用に対する施工段階のBIM/CIMに関する取り組み事例 不動テトラ 東京本店土木技術室CIM/ICT PT(プロジェクトチーム)リーダー 小林純氏 | 建設通信新聞Digital

5月6日 月曜日

B・C・I 未来図

【BIM/CIM原則化元年⑥】原則CIM適用に対する施工段階のBIM/CIMに関する取り組み事例 不動テトラ 東京本店土木技術室CIM/ICT PT(プロジェクトチーム)リーダー 小林純氏

発展に向けて業種横断の議論を

小林純氏

 BIM/CIM活用工事は、義務項目をこなすだけではインセンティブが見込めないため、当社は推奨項目に積極的に取り組む考えです。そのためには、社員のBIM/CIMスキル習得が必須と考えています。当初はBIM/CIM業務対応の専属部署を設けていないため、土木事業本部技術部に設置したCIM/ICT PTのメンバーが、通常の業務と並行してBIM/CIM案件の対応や試行を行っています。

 当社の取り組みの特徴は、CIM導入モデル工事や人財育成にあると考えています。モデル工事は、BIM/CIM活用工事を想定して、稼働中の現場で3Dモデルや必要書類を作成し、模擬的に活用工事を実践することで実務に備える取り組みと位置付けています。

 人財育成については、BIM/CIM活用は施工管理業務の一環であり、現場の工事部員が対応できるようにすべきだという当社方針のもと以下の4段階で取り組んでいます。

 ステップ1ではCIM/ICT PTのメンバーを中心に、3DモデリングやBIM/CIM運用スキルの習得を進めました。ステップ2では、受注できたBIM/CIM活用工事に従事する現場のメンバーが、必要性に応じてスキルを習得してきました。ステップ3では、現場の工事部員からCIM育成要員を選任して一定期間現場から離れ、技術部員の補助を受けながら集中的にスキルを習得する体制を設けました。実際に育成要員の教育を行ってみると、CIM関連ソフトのスキルは、当初の想定よりも短期間の1-3カ月で習得できることが分かりました。中にはトレーニング教材を活用し、独学で習得した事例もありました。

 次のステップ4としては、現場にいながらスキルを習得できる体制の構築を模索しているところです。現場でのCIMモデラーの研修には既存のトレーニング教材を活用します。研修経験者はBIM/CIM活用工事に配置するなど、身に付けたスキルを定着させる工夫が必要だと考えています。CIMマネージャーの育成に関しては、現場管理者を対象とした講習を企画しています。CIMモデラーの業務は外注も可能ですが、CIMマネージャーは発注者との協議や折衝が必要となるため、自社対応が必須であることがポイントだと考えています。

 BIM/CIMは建設業におけるDXの入り口だと考えています。当社ではDXの導入検討に当たり、2022年度に現場の動向調査や簡単な試行を実施しました。23年度からはオートデスクのクラウドシステムを利用して現場の工事部員全員が3Dモデルを閲覧できる環境を整備するなど、本格的なDXの取り組みを進めています。

 BIM/CIMのさらなる発展に向けては、モデルの作成、更新、属性情報付与作業の自動化が鍵となると考えています。BIM/CIMモデルの属性情報は、うまく活用すれば受発注者双方にメリットをもたらすことができます。また、維持管理段階で有効活用できる属性情報付与の仕組みが必要です。BIM/CIM本来の目的や効果を念頭に、業種横断的な議論の場を増やすことが肝要と考えています。

FT-BIM/CIM ロードマップ



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