【施工BIMのインパクト2023④】鋼製建具生産及び内装プレカットのサプライチェーン 建具の生産工程45%工数削減 | 建設通信新聞Digital

5月9日 木曜日

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【施工BIMのインパクト2023④】鋼製建具生産及び内装プレカットのサプライチェーン 建具の生産工程45%工数削減

東亜建設工業経営企画本部DX推進部部長兼DX企画課長 中野亘氏
野原グループBuildApp事業統括部建設DX推進統括部建設DX3部部長 石田渉氏

中野氏

 東亜建設工業は、技術研究開発センター第2実験棟の建設工事に野原グループのBIM設計・生産・施工支援プラットフォーム「BuildApp(ビルドアップ)」を導入し、鋼製建具(スチールドア)の生産サプライチェーンにおける生産性向上と、乾式壁プレカットによる現場施工の効率化、CO2・現場廃棄物の削減効果を共同検証しました。

 東亜建設工業は2019年にBIM導入の5カ年計画を開始し、専門工事会社との連携を21年度に位置付けました。どのように取り組むかを悩んでいた時に、野原グループから建具と内装工事、サプライチェーンにおけるBIM活用の提案があり、両社のプランが一致しました。社内では「建具と内装は元請けのメリットが少ない」という意見がありましたが、「社内で完結するより専門工事会社と連携してサプライチェーンのBIM化を推進し、業務効率化を図るのが元請けの責務」と説得して認められました。

 スチールドアのBIM連携では、設計図-施工図-製作図の作成を一つのBIMで一貫して行うことで図面の間違いが減り、元請けのチェック個所と修正が減り、それにより工場の間違いが激減することで効率化が実現します。

石田氏

 具体的にまず、野原グループが保有するスチールドアのライブラリからオブジェクトを設計・施工BIMに取り込みます。BIMをBuildAppが受け取ると、ドアのオブジェクトを階層ごとに分解し、各部材に割り振られたコードとBIMの属性情報を連携して自動積算し、見積書を作成します。

 一方、BIMの壁、床、天井などのデータと各コードを組み合わせ、スチールドアの施工図を自動作図します。作成した図面はクラウドで共有し、元請けが承認したら製造に必要な情報をCSVに変換し、バラ図を作図するTB-CADにインポートして工場生産を行います。従来の2次元図面の工程とBIM連携の工数を比較すると見積もりが43%、施工図の作図と承認が45%、バラ図の作成が50%削減し、生産工程全体で45%の工数を削減しました。

 内装材のプレカット施工では、BIMで下地のLGS(軽量鉄骨材)と表層の石膏ボードの割り付けを行い、それを元に自動積算で見積書を作成し、メーカー発注後に工場でプレカットして現場に配送します。部材にQRコードを付けて現場に搬入、間配りを効率化し、プレカット材で壁面を施工する手法を構築しました。

 在来工法と比較すると、従来3人で行う作業を2人に省力化し、施工時間の短縮にも一定の効果がありました。プレカットでLGSと石膏ボードの残材の減少を想定しましたが、事前にBIMで想定した重量と実際に現場から出た量が同程度となり、効果を確認しました。今後も柱周りなど部位ごとに最適なプレカットのあり方を協議し効率化したいと思います。

 建築主、設計者、ゼネコン、協力会社、工場を含むサプライチェーン全体の業務効率化の手段としてBIMを活用するべきで、今回の検証はその第一歩になると思います。



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