【施工BIMのインパクト2023⑤】設備BIM研究連絡会の取り組み 一覧表活用し資材手配15%削減 | 建設通信新聞Digital

5月18日 土曜日

B・C・I 未来図

【施工BIMのインパクト2023⑤】設備BIM研究連絡会の取り組み 一覧表活用し資材手配15%削減

高砂熱学工業DX戦略統括部BIM推進部担当課長 遠藤裕司氏
新菱冷熱工業デジタルトランスフォーメーション推進本部
        デジタル推進企画部BIM課課長 酒本晋太郎氏
ダイダン技術本部ICT推進部部長 美馬秀哉氏
弘電社技術戦略・イノベーション本部技術戦略部BIM推進課主事 齋藤 祐希氏

 設備BIM研究連絡会の取り組みを紹介します。現在9社が参加し、BIMソフト『Revit』によるBIM標準化に取り組んでいます。

 ファミリ標準化では定期的な勉強会を開き、標準パラメータの検討を進めています。多くのメーカーから標準ファミリを提供してもらうことが、業界のBIM導入促進に直結します。テンプレートの標準化では品質向上を重視し、モデリングや作図、書類作成の作業効率を高め、Revitのプレゼンス向上も重要なポイントです。またワークフローの検討では、共通データ環境(CDE)を基盤にプロジェクト関係者間でデータを共有する枠組みを検討します。連絡会独自でアドインツールの開発も進めます。

 さらに教育については、設備施工者向けのトレーニングサービスがまだ少なく、連絡会として教育プログラムを検討し既存のサービス事業者に要望していきます。

 BIM標準化の効果は、設計、施工、維持管理でのデータ連携の円滑化です。複数人共同作業による作業効率も可能になり、同時作業が実現します。建築確認申請や省エネ適判のBIM申請も具体化しつつあり、BIM標準化が強く求められています。

 次に、延べ7000㎡の工場におけるBIM活用事例を紹介します。機械設備と内装工事を高砂熱学工業、電気設備工事を弘電社が担当しました。両社の工事担当者と社内のBIM支援部門間でデータ連携や打ち合わせを行える運用体制を組みました。

 現場の干渉チェックはデータ連携により、業務量の大幅な削減が実現しました。総合図をその場で修正し、互いに方向性を確認後、残りの修正作業も同一モデルを使うことでスムーズに進めました。

 パネル天井の収まりが厳しく、保守員のメンテナンスルートの確認が困難な状況でした。そこで3次元で調整を行い、点検孔から保守メンテナンスが可能かなどを確認できたことも効果の一つです。


 空調機器のパラメータを使い、電源種別の色分け判別を進め、電気回路システムの一般表も作成しました。これまでは機器リストや機器仕様書を確認し、負荷計算していましたが、パラメータの利用により負荷計算を自動で行うことができます。

 施工図作成の段階には機器配置の取り合いなどさまざまな検討を進め、修正調整を行うだけで竣工図も作成しました。一覧表を活用した資材の手配による効率化は、約15%の業務削減につながりました。

 BIMの実現には現状の業務手法からの脱却が必要です。今後、ファミリ整備の拡充に加え、習熟者を増やすことで、さらなる効率化が図れると期待しています。

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