【ヴェネチアビエンナーレ】日本館展示報告会 反転する風景探った「逆さにすれば、森」 | 建設通信新聞Digital

5月17日 金曜日

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【ヴェネチアビエンナーレ】日本館展示報告会 反転する風景探った「逆さにすれば、森」

岩崎氏(左)と鷲田氏

 国際交流基金は、東京都内で第57回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館展示の報告会を開いた。キュレーターを務める鷲田めるろ氏(金沢21世紀美術館キュレーター)と展示アーティストの岩崎貴宏氏が、5月のオープン以来約13万人が来場した「逆さにすれば、森」をテーマとする同館の展示内容などを紹介した。
 今回の出展に当たり、立体作品7点中6点を新たに制作した岩崎氏は、ベネチア出身の作家、ティツィアーノ・スカルパの小説に着想を得て「まちの周辺に森がない水の都・ベネチアだが、実は海上に無数の木の杭を打ち込んで都市の基盤がつくられている。木と石の使い方が日本とは正反対で面白い」と強調した上で、ベネチアの中の日本と自分との接点を見いだし、反転する風景を探ったという。
 このうち、台風で壊れた厳島神社をモチーフとする「Ship of Theseus」は、一見ランダムだが実は本殿が被害を受けないように一定の法則で壊れている様子を丁寧に再現。宮大工の技術継承や部材となる木の育成、漁師が対岸に流れた破片を拾い集めるコミュニティーのあり方など「破壊は負の側面だけではない。人工的な伊勢神宮の式年遷宮よりも自然なプロセスを持つ循環だ」と強調した。

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