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5月2日 金曜日

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【記者座談会】全国で業界団体の総会本格化/GX2040ビジョン策定へ

◇若手の入職へ週休2日は必達目標

本格化する総会


A 全国で業界団体の総会が始まっているね。今年の大きな課題は、なんといっても4月からの時間外労働規制だろう。

B 関東甲信地域の建設業協会の総会でも話題の中心になっていたよ。

C 埼玉県建設業協会の小川貢三郎会長は「働き方改革、生産性向上は待ったなしの状況だ」と強調し、連携して取り組みを進める必要性を訴えていた。

D 新会長にバトンを託した神奈川県建設業協会の松尾文明前会長は、若手の入職を促進するため、「時間外労働規制への対応、週休2日制の達成は必達目標だ」と指摘し、「ここでやめてしまってはもう建設業には若者は入ってこないんだという覚悟で、働き方改革を進めなくてはならない」と危機感をにじませた。

A 能登半島地震を踏まえ、地域の守り手である地域建設業の役割を実感したとの声も各地であったね。

C 山梨県建設業協会の浅野正一会長は「改めて地域建設業の存在そのものが重要なインフラであることを強く認識した」と強調した上で、持続的な発展に向けた予算確保が必須と訴えている。

D 独自に災害体制確保に動き出す団体もあった。長野県建設業協会の木下修会長は「緊急時に迅速な対応ができるよう、協会と県の災害情報共有システムの連携を進める」と表明。群馬県建設業協会の青柳剛会長も、災害対応を維持するために地域密着型の事業量確保を目指す方針を打ちだし、「県内12支部の事業量を調査・検証し、6月ごろに発表したい」と語っている。

B 業界はまさに今、変革の時を迎えている。持続的な業界の発展のために次の手をどう打っていくか、各団体の動きを注視したい。

◇脱炭素など経済成長の同時実現目指す

A ところで政府が新たな国家戦略を策定するようだけど。

E 脱炭素とエネルギーの安定供給、経済成長の同時実現に向けた「GX2040ビジョン」と呼ばれる国家戦略だ。これまでのGX(グリーントランスフォーメーション)は、成長志向型カーボン・プライシング、150兆円の官民GX投資などの仕組みを示してきた。これを「GX1.0」とし、新戦略は「GX2.0」に位置付け、2050年カーボンニュートラルに向けて、官民で共有する脱炭素への現実的なルートを示す。

F 40年を目標とする長期戦略となり、新たな政府目標や脱炭素電源の整備、産業政策、温室効果ガス排出量の多い企業の排出量取引への参加義務付けなどを検討し、24年度内にビジョンを策定する。
G 排出量取引制度は、具体的制度設計の前提として法的な考え方を整理するため、有識者研究会で議論に着手した。検討成果は9月以降にまとまる。その後、ゼネコンなども参画するGXリーグでの結果を踏まえ、大企業の制度への参加義務化、個社の削減目標の認証制度の法定化を検討していく。制度を法定化するため、25年の通常国会にはGX推進法改正案を提出する予定だ。

F 中長期のエネルギー政策の方向性を示すエネルギー基本計画の見直し議論も始まった。脱炭素化を見据えた今後の電源構成の在り方などを検討し、24年度内に改定する。ロシアによるウクライナ侵攻、生成AI(人工知能)に代表されるDX(デジタルトランスフォーメーション)化による電力需要増加見込みなど、エネルギーを巡る情勢変化を踏まえる。6月には地球温暖化対策計画改定の検討も始まる。建設産業界にとっても事業活動に直結することから、議論の行方が注目されるね。

 

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