【隈研吾デザイン、神社の屋根を再利用】カフェ1月に開業/ウチノ板金 | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【隈研吾デザイン、神社の屋根を再利用】カフェ1月に開業/ウチノ板金

和國商店の外観


 建築物の外装工事を手掛けるウチノ板金(東京都東村山市)、神社の屋根で使用されていた緑青銅板を外壁に再利用したカフェ「和國商店」を2024年1月に開業する。デザイン監修は隈研吾建築都市設計事務所、設計・施工は岡庭建設(西東京市)が担当した。

 和國商店は、ウチノ板金が展開する工芸品ブランドで、同社の製作する板金の折鶴は海外のファンも多い。2022年からはフランス・ドイツの学校・大使館・公的機関、国内では代官山蔦屋書店で板金折鶴製作のワークショップも開催し、日本文化・板金技術を海外に伝える活動を行っている。

 店舗の内外装は隈研吾氏のデザインとウチノ板金の建築板金の技術を掛け合わせて作り上げた。独創的な外壁は約700個の緑青銅板によって形成されており、この緑青銅板は約60~100年前から広島県廿日市市の速谷神社の屋根で使用され、自然にできた緑青銅板を回収し、板金職人の加工技術によって形を変え、再利用している。

 金属外装材メーカーのタニタハウジングウエア(東京都板橋区)が独自開発した高速緑青生成技術を駆使した人工緑青銅板も使用し、自然緑青銅板と調和した特徴的な外壁仕上げになっている。屋外に置かれる椅子は旧国立競技場で使用されていた座面を再利用し、隈研吾氏がデザインした。椅子の脚部分には人工緑青銅板を使用し、板金職人とのコラボレーションで完成した。

 店内の壁は板金職人が手加工した真鍮の作品を際立たせるように黒漆喰で表現し、キッチン、ランプシェード、シンク、巾木等、細部の板金は真鍮板で彩り、板金職人のものづくり精神と遊び心を忘れないデザインで施されている。

隈氏(左)と内野氏


 このプロジェクトは、幼少期に青葉商店街で育ったウチノ板金の内野友和代表が、この商店街の文化を活用し、地域活性・空き家の利活用・建築廃材の再利用・職人不足・技術継承などの様々な問題を少しでも解決できないかと、隈研吾氏に話を持ち掛けたところから始まった。

 

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