【地球温暖化防止への一縷に】ものつくり大学 通気・換気・省エネを研究する実験住宅が完成 | 建設通信新聞Digital

4月26日 金曜日

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【地球温暖化防止への一縷に】ものつくり大学 通気・換気・省エネを研究する実験住宅が完成

 ものつくり大学(埼玉県行田市)が、大学敷地内に産官学連携で建設していた実験住宅が完成した。同大建設学科の松岡大介准教授による、木造住宅の通気・換気(湿害防止)についての研究を始め、居住空間の省エネ・快適性などを研究する。今後は、木造住宅の品質向上に努める業界団体や企業などに、実験などで得られた知見を発信していく。

実験住宅


 実験住宅は木造軸組工法(外壁合板張り)2階建て延べ108㎡。事業費は住宅本体900万円、センサー600万円の総額約1500万円で、半年ほどの工期をかけて完成した。

 窓は樹脂サッシLow-Eアルゴン入り複層ガラスの断熱仕様で、断熱性能はHEAT20のG2レベルとなった。校舎屋上には直達日射量、拡散日射量、風向風速などを観測する気象ステーションを設置した。リビングを吹き抜けにできるように、構造・施工にも配慮した。

 小屋根裏換気は軒換気口、棟換気口を、居室換気は壁付け第1種、第3種を設置した。通気層は横長窓を1階西側と2階北側に設置し、特に2階は低い位置に取り付け、窓上下の通気層を測定できるようにした。

 床下空間は、基礎換気口と基礎パッキンを施工。地中には温度センサー、スラブ下の防湿フィルム上下に温度・湿度センサーを設置した。

 23日の完成披露目会では、同大学の赤松明学長が「実験住宅を用いて、断熱効果、結露問題など多くの知見を得ることで、住宅性能の向上に活用でき、地球温暖化防止への一縷(いちる)となると確信している」とあいさつした。

 実験住宅で得た知見により、「木造住宅を100年、200年もたせるため、耐久性、換気を向上して結露しないようにする」(松岡准教授)考えだ。

赤松学長


 参画している共同研究・協力者は次のとおり(敬称略)。
 〈学識者〉齋藤宏昭(足利大教授)▽小椋大介(京大教授)▽前真之(東大准教授)▽伊藤大輔(日本工大准教授)▽井口雅登(日大助教)▽久保隆太郎(ものつくり大准教授)。
 〈公的機関〉国土技術政策総合研究所▽建築研究所▽住宅リフォーム・紛争処理支援センター(アルセッド建築研究所)。
 〈共同研究者〉出端祐輔(積水ハウス)▽梅野徹也(同)▽長村貞治(ミサワホーム総合研究所)。
 〈民間企業〉城東テクノ▽ファイブイズホーム。
 〈屋根換気メーカー協会〉太田製作所▽大谷工業▽片岡瓦工業▽ケイミュー▽ジェイベック▽タニタハウジングウェア▽トーコー▽日本住環境▽馬場商店▽屋根技術研究所▽ヨネキン。
 〈窓開口の遮断・遮熱を考える研究会〉塩ビ工業・環境協会▽日建設計総合研究所▽文化シヤッター▽三菱電機▽エクセルシャノン。



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