【マンション工事費】都は前年度比平均173万円増、1都・3県で上昇/富裕層向けにシフト加速 | 建設通信新聞Digital

5月17日 金曜日

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【マンション工事費】都は前年度比平均173万円増、1都・3県で上昇/富裕層向けにシフト加速


 東京都と隣接する3県(埼玉、千葉、神奈川)の共同住宅の着工時の1戸当たり工事費予定額(戸当たり工事費)が着実に上昇している。特に東京都の2023年度(4-11月)の平均戸当たり工事費は1735万円で、22年度平均(1562万円)を173万円上回っている。地価・物価高騰によって23年度末から24年度にかけ、さらに戸数減、工事費増による富裕層向けマンション開発へのシフトが進むとみられる。国土交通省の建築着工統計調査報告のうち、住宅着工統計の23年4月から11月までの共同住宅の着工戸数・戸当たり工事費の動向を読む。
 
 
 

1都3県の年度別着工戸数(月積み上げ)


 東京都の23年度(4-11月)累計は4万8783戸で、前年同期の5万0878戸をわずかに下回るペースで進んでいる。千葉県も、23年度累計が1万0382戸で、前年同期の1万1635戸に届かない。一方で、神奈川県は前年同期が2万0030戸に対して23年度累計は2万2029戸、埼玉県は前年同期の1万0549戸に対して23年度累計が1万2295戸と、ともに前年を2000戸程度上回るペースで進捗(しんちょく)している。

 工事費を見ると、東京都の戸当たり工事費は23年度平均が1735万円と前年度平均の1562万円を大きく上回る。平米単価も23年度平均が前年度平均を3万円上回る36万円に達している。神奈川県も、戸当たり工事費が前年度平均より約83万円高い1508万円と1500万円を超えた。平米単価も前年度平均より2万円上昇して31万円と30万円を超えている。埼玉県は、戸当たり工事費が前年度平均を77万円上回る1417万円だが、平米単価は28万円で前年度平均を1万円上回るにとどまる。

 比較的工事費の上昇度合いが抑えられているのは千葉県だ。戸当たり工事費は、前年度平均より8万2000円高い1313万円となっている。平米単価は前年度平均より2万円高いが、28万円と30万円を下回っている。

 建設業の働き方改革や協力会社確保の難しさのため、23年度末から24年度にかけて工事費がさらに上昇する可能性は高い。既に各マンションデベロッパーは地価・物価高騰の中で新規の用地確保に慎重になり始めており、着工戸数が減少する一方で、富裕層向けの高額マンションが増えるとみられる。

 

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1都3県の月別戸当たり 工事費予想額の推移