【けんちゃく・住宅着工統計を読む(下)】隣接3県で変わる潮目 | 建設通信新聞Digital

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【けんちゃく・住宅着工統計を読む(下)】隣接3県で変わる潮目

◇千葉は着工減、工事費低下



 高額マンションの需要は強く、供給戸数は減少するも、1戸当たりの工事費予定額(戸当たり工事費)は上昇するという傾向は続く。ただし、これは資産価格の上昇が見込める東京都心の好立地に限定した話だ。各デベロッパーは近年、都心では土地購入前からゼネコンと組んで事業収支を計算しながら取得用地を厳選しつつ、建築コストを抑制するという手法を取っている。一方で「郊外では、土地を購入し開発して売るのはもう難しい。新規供給が何年もないエリアなどの“需要だまり”を見極めている」と三菱地所レジデンスの宮島正治社長執行役員は解説する。 国土交通省の建築着工統計調査報告のうち住宅着工統計を見ると、東京都に隣接する埼玉、千葉、神奈川の3県では既に潮目が変わり始めている。千葉県の2024年度計の共同住宅の着工戸数は前年度比14.9%増の1万8485戸で、平均戸当たり工事費は21.0%上昇の1623万円となっていたが、25年度は4-11月累計で着工戸数が前年同期比33.3%減の9155戸と1万戸に届かず、4-11月平均戸当たり工事費も15.0%低下し1308万円となった。

 神奈川県も24年度計は、着工戸数増、平均戸当たり工事費も上昇したものの、25年度は4-11月累計戸数が前年同期比11.3%減の2万1910戸となっている。4-11月平均戸当たり工事費は1.6%アップの1603万円だが、上昇ペースが落ちている。

 こうした中でも埼玉県は、4-11月累計着工戸数が3.2%増の1万3692戸、平均戸当たり工事費が5.8%上昇の1509万円と、戸数増、工事費上昇の傾向が続いている。

 東京都内のマンション価格の上昇によって、買いたくても買えなかった層が郊外のマンションを求める構図であれば、隣接県の着工戸数増、戸当たり工事費上昇という傾向を示すと考えられる。しかし、現在の都内のマンション価格上昇は、株価の上昇で富裕層になったパワーカップル、パワーファミリーによる資産形成のための買い換え需要に支えられているとされる。とすれば、将来的な資産価値上昇が見込みにくい郊外の需要は低下する。千葉や神奈川の着工戸数減少は、この動きが顕在化したものと考えられ、今後の郊外のマンション市場の厳しさを示しているとも言える。
(竹本啓吾)

 

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