【BIM/CIM未来図DX】丹青社① 皆がBIM使える組織つくる/面的にデータ価値を最大化 | 建設通信新聞Digital

5月16日 木曜日

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【BIM/CIM未来図DX】丹青社① 皆がBIM使える組織つくる/面的にデータ価値を最大化

 丹青社がBIM導入の新たなステージに踏み込もうとしている。BIM戦略を指揮する森永倫夫取締役は「導入期を経て、これから成長期に入る」と語る。内装・ディスプレー業界のBIMトップランナーである同社は、どこに向かおうとしているか。道筋を追った。

 同社が働き方の再構築に向け、BIMの本格導入にかじを切ったのは3年前のことだ。2022年1月期からの3カ年中期経営計画でデジタル活用を基軸にビジネスと働き方の「進化」を掲げ、その手段としてBIMの導入・活用を明確に打ち出した。

 全国に11拠点を置く同社は総勢1000人を超え、このうち設計領域を担うデザイン部門のデザイナーやプランナーは約250人、施工領域の制作部門に籍を置く技術者は約470人に達する。その中で実務に携わる全員にオートデスクのBIMソフト『Revit』のライセンスを整備した。森永氏は「21年からの3年間を導入期に位置付け、皆がBIMを使える組織を形づくろうと、人材育成に力を注いできた」と振り返る。

 先行するデザイン部門は、BIMのスキルを段階別に分け、対象者の半数となる100人が実案件でBIMを実践できるレベルへの到達を24年1月期末の目標として設定した。制作部門ではBIM活用のスキルを複数の作業に分け、実際に取り組んだ作業をポイント化し、対象者の3分の1に当たる100人が全ポイントの取得を目標にしている。

 岡崎勝久BIMデザイン局長は「局所的な進め方では組織としてBIMの効果を最大限に引き出せない。社員一人ひとりのBIMスキル向上とともに、成功体験の共有による意識改革にも取り組んでいる」と強調する。社内では総勢50人のBIM推進委員会が組織され、教育や情報共有の母体として機能しており、組織が一丸となって向き合い、BIM導入の歯車が回り始めた。

 25年1月期からスタートする3カ年の新中期経営計画では、BIM導入のステージを「成長期」に位置付け、一気に定着を図る。森永氏は「これまでは一人ひとりの効率化の手段としてBIMを重視してきた。これからはBIMプラットフォームを軸に蓄積したデータを組織として活用しながら“面”としてのBIM活用に切り替える」と強調する。

BIM戦略図

 その軸となるBIMプラットフォームの構築は導入期の最終年度に当たる24年1月期から3カ年計画でスタートしており、成長期のスタートに合わせて運用できるように1年前から準備してきた。導入期はBIMデータを作ることに注力し、成長期はそのデータをプロジェクト関係者間で共有しながら利活用する。岡崎氏は「面(組織)としての使い方によってBIMデータの価値は最大化する」と考えている。実際にBIMを使うデザイン部門や制作部門だけでなく、受注提案を担う営業部門もBIMの価値を理解することで「当社独自の一体的なBIMソリューションに発展する」と付け加える。

 社として取り組むDX(デジタルトランスフォーメーション)は管理部門のデジタル化が進行中。制作部門の基幹システムも再構築しており、書類作業の削減により、現場作業に集中できる環境づくりも動き出している。森永氏は「まさにBIMの定着も当社のDXに通じる成長戦略に他ならない」と力を込める。

全館デザイン監修と内装部分の設計・施工を 担当した「ららぽーと堺」



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