【BIM/CIM未来図DX】丹青社⑤ データ解析で設計根拠を明確化/ディスプレー業界をけん引 | 建設通信新聞Digital

5月11日 土曜日

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【BIM/CIM未来図DX】丹青社⑤ データ解析で設計根拠を明確化/ディスプレー業界をけん引

 丹青社のBIMステージは「導入期」を経て「成長期」に入ろうとしている。2025年1月期から3カ年の新中期経営計画に合わせ、データ連携の基盤を担うBIMプラットフォームを始動し、業務ツールとしてオートデスクのBIMソフト『Revit』の定着を図る。

同社のBIMステージは「成長期」に入る

 岡崎勝久BIMデザイン局長は「成長期最終年度の26年1月期には日常的にBIMを使う組織として導入のステージを一つ上げたい」と先を見据える。設計を担うデザイン部門で作成したRevitデータを施工領域の制作部門につなぐ基盤として、オートデスクのクラウドプラットフォーム『Autodesk Construction Cloud』(ACC)を位置付け、独自のBIMワークフロー確立にも乗り出す。

 同社は、蓄積したデータを現場作業の自動化などにも生かそうと準備しており、BIMをインフラデータに位置付け、多角的に利活用する青写真を描く。プラットフォームにBIMデータをどのように納めるか、その基準やルールを盛り込んだガイドラインの素案もこの1年で整えてきた。26年1月期にデータ連携の環境を確立し、27年1月期にはデータ活用環境の基盤を完了させ、新たなBIM活用のステージに踏み込む。

 森永倫夫取締役は「重要なのはきちんとしたルールに基づいてデータを蓄積することであり、それによって施主を含むプロジェクト関係者の新たな価値としてBIMデータが生まれ変わる」と考えている。同社は24年1月期から3カ年をBIMの「成長期」、さらにその先の3カ年を「活用期」と位置付ける。「BIMデータを他のデジタルデータと組み合わせることで、われわれはDX(デジタルトランスフォーメーション)の領域にも踏み込んでいく」と語る。

 これまで手薄だった内装工事完了後のアフターメンテナンスへの対応も、BIMデータの活用によって新たな業務創出の可能性を見いだせる。これにより内装・ディスプレー分野と関係性が深い設備や照明などの領域ともより密接につながる道筋が開ける。村井義史BIMデザイン局BIMマネージャーは「われわれのBIMデータに関連領域のデータを組み合わせた解析が実現すれば、施主に対して設計の根拠を明確に示すことができる」と説く。

「Navis works」を使って納まり検証


 BIMをきっかけに受注が成立するケースも少しずつ出てきた。最前線の営業担当がBIMの成功事例を理解し、受注時の差別化提案として盛り込む流れが広がっていることが背景にある。博覧会など国を挙げたイベントで成長を遂げてきた同社だけに、Revitデータの提出が義務化される25年大阪・関西万博の関連施設への準備も進めており、BIMを足がかりに受注拡大を狙う。

 最近は、大型プロジェクトを中心に元請けのゼネコンからBIMデータを提供されるケースも増えてきた。建設業界内で「丹青社=BIM」との認識が徐々に浸透してきた裏返しでもある。ゼネコンや設計事務所が先行する中、近年は設備工事業などの分野もBIMに大きくかじを切り始めた。森永氏は「われわれ内装ディスプレー分野も同様だ。いずれBIMが当たり前の時代が到来することは間違いない。当社がこの流れをけん引し、業界の発展に貢献していきたい」と力強く語る。

左から村井氏、岡崎氏、高橋氏、森永氏、山田氏、松山氏



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