【記者座談会】北陸新幹線金沢~敦賀間が開業/高砂熱学工業の月面用水電解装置が完成 | 建設通信新聞Digital

5月9日 木曜日

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【記者座談会】北陸新幹線金沢~敦賀間が開業/高砂熱学工業の月面用水電解装置が完成

◇100年に一度の好機を復興や発展に

A 北陸新幹線の金沢~敦賀間が16日、1973年の整備計画決定から半世紀を経て、ついに開業した。北陸と東京や大阪との鉄道所要時間が短縮され、これでアクセスが便利になるね。

B 杉本達治福井県知事が「100年に1度のチャンス」というように、沿線観光業の期待は大きい。実際に、開業直後から各地は大勢の観光客でにぎわっている。

C 北陸は建築の見どころも多いよ。SANAAが設計を手掛けた金沢21世紀美術館をはじめ、数多くの名建築がそろう金沢はもちろん、福井にも黒川紀章による福井市美術館や福井県立恐竜博物館、内藤廣氏が手掛けた福井県年縞(ねんこう)博物館など、著名建築家が設計した建築がめじろ押しだ。

B 北陸新幹線を使って金沢、福井の建築を巡る旅も楽しそうだね。

A 今回の延伸開業は、能登半島地震の復興を後押しする役目も期待される。北陸全体が盛り上がり、元気であり続けることは、深刻な被害を受けた地域の小さな希望になるかもしれない。新幹線の延伸をきっかけに北陸を旅し、その魅力を知った人たちはきっと、輪島市や珠洲市をはじめ、能登半島にも行ってみたいと感じるはずだ。

C そのためにも、この盛り上がりを一過性で終わらせることなく、今後も盛り上げるための施策が求められる。

D 各地のスポットをさらに磨き上げるだけでなく、まちに新たな魅力を加えることも重要だ。民間投資が促されると、雇用も生まれ、大都市への人材流出も食い止められる。新たに移り住みたいと考える人も出てくるだろう。

A 公民の連携が地域活性化の鍵を握ることは言うまでもない。新駅周辺では、官民連携によるまちづくりが進む。今後の発展が楽しみだ。

◇月での水素・酸素生成の実証成功に期待

C 盛り上がっているのは、北陸だけではないよ。最近は宇宙に関係する話題もひっきりなしだ。

A 今年に入って宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小型月着陸実証機「SLIM(スリム)」が、日本の無人探査機として初の月面着陸に成功し、日本の次世代大型ロケット「H3」が打ち上げに成功した話題も記憶に新しい。

D 清水建設など4社の共同出資で設立した「スペースワン」の民間小型ロケット「カイロス」にも注目が集まった。機体を発射し上昇はしたけど、5秒後に飛行中断措置が取られた。残念という声は多いが、成功を収めるまでには失敗は付きもの。いろいろと得られた知見もあるだろうから、大きな前進と捉えるべきだ。

B 大きな前進といえば、高砂熱学工業も話題になっている。同社開発の小型の「月面用水電解装置フライトモデル」が完成し、月面輸送サービスを手掛ける宇宙スタートアップ(新興企業)のispace(東京都中央区、袴田武史代表取締役CEO&Founder)にそれを引き渡したそうだよ。

今年の冬、高砂熱学工業が開発した 「月面用水電解装置」が月面に旅立つ


D これで世界初となる「月面での水素・酸素生成ミッション」に挑むことになる。ispaceの無人月着陸船(ランダー)に同装置を搭載し、これらを載せたスペースX社のロケットが今冬にも月に向けて打ち上げられ、着陸後、この実証に取り組む。月で水素と酸素を生成できれば、水素は燃料として利用し、人は酸素で呼吸できる。これで月での生活や、月面経済圏の形成もより現実味を帯びてくる。

A 人が月で暮らすなんて夢のある話だ。月が中継点となって、その先の星に行くことも可能になるかもしれない。それらを実現するためにも、この挑戦・実証にはぜひとも成功してほしいものだ。

 

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