【BIM/CIM未来図】IFC4・3 土木向け中間ファイルが国際標準に BIM/CIMにインパクト | 建設通信新聞Digital

5月4日 土曜日

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【BIM/CIM未来図】IFC4・3 土木向け中間ファイルが国際標準に BIM/CIMにインパクト

 BIMデータの中間ファイル形式であるIFCの最新バージョン「IFC4・3」が、2日付で国際規格ISO16739として正式に認証された。「これはBIM/CIMの原則適用にかじを切った日本の土木分野にとって大きなインパクトをもたらす」と、オートデスクの技術営業本部でソリューションエンジニアを務める中須賀淳貴氏は強調する。

中須賀氏


 異なるBIMソフト同士が円滑にデータ連携するためのIFCだが、その仕様が先行している建築構造物向けで設計されていることから、土木構造物のデータ連携には不向きという声が国内外で広がっていた。

 IFC4・3は地理空間座標や線形情報の保持に加え、橋梁、道路、鉄道などの分類分けも可能になった。BIMデータ標準化に向けて活動する国際組織のビルディング・スマート・インターナショナル(bSI)が2年前に策定しており、土木向けのIFCバージョンとして、ISOの早期認証が期待されていた。

 今年2月に開かれた国土交通省のBIM/CIM推進会議でも、IFC4・3の動向が話題に上がった。現在のBIM/CIMモデル等電子納品要領では構造物モデルの納品形式としてIFC2×3が位置付けられているが、例えば受注者は地理空間座標系の設定を行うなど、GIS連携を見据えた納品時にデータの微調整が必要になり、以前から円滑なデータ連携環境の構築を求める声があった。

 ISO認証を受け、bSIではIFC仕様基盤のスキーマから切り出されるビュー定義のMVD(モデル・ビュー・デフィニション)の整備が動き出す。データ交換の用途に応じて、複数のMVDが今後1年、2年ほどで整備されていく見通しだ。

ISO認証を受けてMVD整備へ


 bSIには、同社を始め世界規模で活動するソフトベンダー10社が最高位のメンバーシップ(SAC)として参画し、建設プロジェクト関係者全てを包含した共同プロセスの構築を進め、あらゆるソフトウエアが円滑にデータ連携できるオープンBIMの環境構築を進めている。同社副社長土木/建築ソリューション担当のエイミー・バンゼル氏が「業界を挙げて取り組むエコシステムの実現に向けて、当社もオープンBIMの確立に貢献していく」と語るように、データ標準化はベンダー各社にとって経営の最重要テーマだ。

 既にSACメンバーの中には歩調を合わせるように、エコシステム構築に向けたIFC4・3対応のベータ版ソフトを提供する動きが広がっている。同社ではBIMソフト『Revit』に4・3への出力機能を搭載、BIM/CIMソフト『Civil 3D』には4・3出力用の無償アドインツールを提供済みだ。中須賀氏は「既にベータ版として道路、橋梁、鉄道のどのクラスでIFC出力するかをパラメータで設定できるようにしているが、今後は特定用途に沿ったMVDの整備に合わせ、各製品で迅速に対応していく」と説明する。

 日本では、国交省のBIM/CIM原則適用が2年目に入った。いずれIFC4・3環境が到来すれば、データ連携や納品が現在よりも円滑に進められるようになる。同社技術営業テクニカルソリューションエグゼクティブの井上修氏は「われわれソフトベンダーにとってもIFC4・3のインパクトはとても大きい。当社を含め日本で活動するベンダー各社は一斉に4・3対応にシフトする動きが広がるだろう」と説明する。オープンBIMに向けた国際的な議論はIFC4・3のISO認証をきっかけに、各国のローカルな議論へとステージを変えようとしている。

オートデスク『Civil 3D』ではIFC4・3出力用の無償アドインツールを提供





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