東京都世田谷区の外環道東名ジャンクション周辺地区で、地区計画の策定や上部空間利用に向けた検討が進んでいる。区は2020年にまとめた地区計画(素案)を見直すため、24年2月に意見交換会を実施した。4月には「同地区地区計画策定など業務支援」の公募型プロポーザルを公告。7月初旬に契約締結し、意見交換会の結果を踏まえつつ、用途地域などの変更に伴う東京都との協議などを推進する。
意見交換会で区は、20年の素案から見直しまでに時間を要した理由について、「区域内の『土地区画整理事業を施行すべき区域』に指定されている都市基盤が弱い地域の削除に向けての検討、道路配置の見直しに時間がかかった」と説明した。
対象区域は、宇奈根3丁目、大蔵5・6丁目、喜多見3・5・6・7丁目各一部の敷地約53ha。地区を六つに分けており、住宅地区、多摩堤通り沿道地区、田直地区、世田谷通り沿道地区、高速道路周辺地区、喜多見東住宅地区の各地区で、土地利用の方針などを検討している。
修正した街づくりルールの検討案によると、区画道路の路線の一部を減らしたほか、既にある幅6m道路を中心にネットワークを形成する計画に変更、道路拡幅の対象が少なくなるようにした。
地区別のルールの主な変更点は、住宅地区は容積率を100%、区画道路沿道は120%に変更した。多摩堤通り沿道地区は用途地域を第一種住居地域に変更し、現状1500㎡以下に制限されている店舗・事務所が3000㎡以下まで立地可能となる。高速道路周辺地区は道路と外環上部を利用する公園が整備されることにあわせ、公園近隣に店舗、小規模な事務所などの施設が立地できるようにするため、容積率を200%にするなど「にぎわいのある街並みの形成」を誘導する。
東名ジャンクション整備によって創出される上部空間の利用方法では、14年度からワークショップなどを開催して検討を進め、15年度に利用計画素案を公表、17年度に一部修正した。素案では、障害者の福祉施設や区民の交流施設、防災機能を備えた公園、喜多見小第二校庭、広場、歩行者空間などの整備について示していた。今後は外環道工事の進捗(しんちょく)から工事の時期を見極め、計画の検討を進めていくとしている。