◇処遇改善は必要も継続的な負担増を懸念
A 総合評価落札方式での賃上げ実施企業の加点措置を巡り、日本建設業連合会などからも見直しを求める声が高まっている。
B 賃上げによる加点措置の取り組みは3年目を迎えたが、大手企業が3%、中小企業は1.5%以上の賃上げ表明が求められるだけに、これを継続することの企業側の負担も大きく、先が見えない状況では目標値の最低ラインに抑える動きもあるという。
C 施策の継続については2023年度から地方自治体と別の業界団体との意見交換の場でも「いつまで続くのか」と話題に上っていた。
B 受注に直接結び付く総合評価落札方式での加点措置はとても効果的だが、同じ建設業界でも大手と中小、地域によって給与水準に格差があるのが現状だ。
A ただ物価高騰への対応、中長期的な担い手不足の解消といった建設産業界が抱える課題に対し、賃上げという処遇改善の取り組みそのものは必要な施策であることは間違いない。
B 改善策としては一般管理費の引き上げや複数年度実績での評価、工事成績評定点や経営事項審査での加点、賃上げ比率の変更などの改善要望が挙げられている。
C 賃上げ表明書を巡っては、発注者側も事業期間や早期発注で年度末に公告が集中する時期に事業年度や暦年が異なった期間での表明書提出も見られ、最悪のケースでは契約解除に至る場合もあるため、注意を呼び掛けている。
B 建設産業界全体として新規就労者が減る中、給与水準の見直しや完全週休2日の実現など、他産業に比べ遜色ない就労条件整備が急がれる。発注機関と各団体との意見交換会が本格化する中、より良い環境整備に向けた前向きな議論を期待したい。
◇建設の価値表現 鉄道コンテンツも人気
A ところで、日刊建設通信新聞社は、エビリー(東京都渋谷区)の協力を得て、全国展開するゼネコン25社の公式ユーチューブチャンネルで公開された動画の視聴回数をランキングにした。
D 9月13日時点で過去約6カ月間(3月17日-9月13日)に再生された視聴回数を順位付けした。5分超の動画では、西松建設の「西松建設150周年特別ムービー『新人西松さんとまかせられる人』」が首位を獲得した。再生回数は47万2496回で2位以下と大差を付ける結果となった。
E 新人女子社員が150年史を振り返り、同社が施工した工事を通して、先人たちの思いを継承し、未来へ向かっていく約6分間の動画だ。5月の同社150周年パーティーで初めて披露された。
D パーティーを取材したけど、同社の長い歴史の中で“建設”には変わらぬ価値があることや、多くの人間ドラマを内包していることが表現されていた。
A 評判を聞いて、自分も早速動画を見てみた。建設業界で働く人にとどまらず、未来の担い手が見ても胸に迫る内容だと感じた。
E 次いで、鉄建建設の「難易度MAX『JR渋谷駅、最後の大規模切り換え工事』52時間でミッションを完遂せよ!/JR渋谷駅改良工事(第5回線路切換工事)【鉄建建設】」が2位で6万4284回再生だった。実はライク数はこの動画がダントツで861の高評価を得ていた。やはり鉄道関係のコンテンツは根強い人気がある。
D 今回初めて視聴回数をランキングしたが、トップ10を見ると、広告運用という側面だけではなく、各社さまざまな工夫を凝らしていることが分かった。今後も企業のSNS(交流サイト)運用に注目していきたい。