【記者座談会】石破内閣初の通常国会に臨む/空調設備業が取り組む宇宙分野 | 建設通信新聞Digital

5月2日 金曜日

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【記者座談会】石破内閣初の通常国会に臨む/空調設備業が取り組む宇宙分野

◇予算成立時期が政権運営占う

A 24日に石破内閣初の通常国会が開会し、6月22日まで150日間の論戦が始まっている。注目は?

B まずは石破茂首相が就任後初の施政方針演説で、2025年度までの防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策を引き継ぐ次年度からの実施中期計画に言及したことが挙げられる。事業規模は、15兆円程度で実施中の現行対策を「上回る水準が適切」と表明し、策定時期も6月をめどとする方針を明らかにした。世界一の防災大国の実現に向けた意欲を感じる。

C 来年度予算案の着地点も気になるね。少数与党が野党の賛同を得て、過去最大規模となっている予算を今年度内に成立させられるか。今後の政権運営を占う試金石になることは間違いない。

A 27日の衆院本会議の代表質問は、トップバッターを務めた野党最大の議席数を抱える立憲の野田佳彦代表が昨年末の臨時国会で政府予算案を28年ぶりに修正し、可決したことを「一定の成果だ」と強調した。来年度予算案を中心に議論は白熱するだろう。

D 建設関係団体からも今国会の注目度は高い。先日、団体の新年賀詞交歓会を取材したが、この12年間、政府当初予算の公共事業関係費が安定的・継続的に確保されてきただけに、参加者の多くが野党による修正の矛先が向けられないか危惧していた。

C 与野党は28日の衆院予算委員会理事懇談会で、予算案の内容を省庁ごとに精査する「省庁別審査」の実施に合意した。野党肝いりの提案なだけに、詳細に追及して修正要求につなげる狙いだ。

A 省庁別審査は、内閣官房と16府省庁を6グループに分け、3日かけて審査する予定だ。2月上旬に始まる見通しだが、今後の議論に注目したい。

◇世界初、月面での水素・酸素生成へ出発

ランダーに搭載された月面用水電解装置


A 話は変わるが、大型再開発、半導体の工場やデータセンターなど産業系施設の旺盛な需要を受けて、空調・衛生設備を主力とする工事業界は活況を呈している。事業を通じて得た利益を何に回そうとしているのかな。

B やはり人的資本への投資が一番多い。ただ、将来の事業の種、あるいは企業の知名度やイメージ向上の観点から、“宇宙”分野への投資も散見される。新日本空調は先日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と研究開発契約を結んだ。宇宙飛行士が搭乗する月面などの探査車・有人与圧ローバーの空調に必要と考えられるフィルターの性能を、同社製作のプレフィルターで試験する取り組みだ。それを公表したと思ったら、今度は気球で宇宙遊覧フライトの提供を目指すスタートアップ(新興企業)への出資を矢継ぎ早に打ち出してきた。

C 三機工業は今年4月の創立100周年の一環となる「地球MIRAIプロジェクト」で新たな事業の種を全社員に募集し、候補の一つに設備ユニットを選んだ。宇宙を模した地球上の閉鎖的空間でも快適に居住生活ができるもので、いずれ、宇宙旅行や地球以外への移住も可能になればこのユニットが有益なツールになるからね。

D 注目すべきは世界初となる月面での水素・酸素生成に挑む高砂熱学工業だ。15日の打ち上げで月に向かった米国SpaceX社のFalcon9ロケットに積み込んだispace(東京都中央区)のランダー(月着陸船)には、高砂熱学の月面用水電解装置を搭載している。4、5カ月後といわれる月面への着陸と世界初の挑戦が待ち遠しい。

C 宇宙の話だけに、各社の取り組みに無限の可能性を感じる。それに共感して、業界に関心を持って入職してくれる若者が増えたらいいね。

 

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