野村不動産は、千葉県習志野市で計画する津田沼駅南口地区第一種市街地再開発事業の一時中断を、市に申し入れた。建築費の動向を含めた社会情勢が見通せないとして、再開発事業の認可手続きを延期する。中断期間の長期化が想定されることから、3月末に閉館した商業・業務複合施設「モリシア津田沼」の調査点検を実施し、部分的な再開を検討する。
同社は、再開発事業の一時中断を5月21日に文書で申し入れた。1月にも建築費高騰の影響で特定業務代行者の選定ができていないことから、事業スケジュールを見直すため、市に協議を申し入れていた。同社は「再開発事業を取りやめる意思はない」とし、事業再開の見通しが立ち次第、認可に向けた各種手続きを進める方針。
老朽化しているモリシア津田沼の建物設備の状態を把握するため、調査点検に着手済み。点検結果を踏まえ、2025年度中に判断する。
文書を受け、宮本泰介習志野市長は「非常に残念で困惑している。商業施設再開の具体策を早期に示していただくことを強く求めた」とコメントした。市はモリシア津田沼内にある習志野文化ホールの状態把握に取り組む考え。
同再開発事業では、総延べ約22万㎡の複合施設を整備する。7月の事業認可、26年3月の権利変換計画認可後、同年4月から既存施設の解体に着工、28年内の新築着工、31年内の完成を予定していた。
施行区域は、JR総武線津田沼駅南口駅前広場や津田沼緑地、モリシア津田沼がある谷津1ほかの約3.4ha。モリシア津田沼内に現在の習志野文化ホールがあり、市が区分所有している。区域内は24年10月、市から都市計画決定を受けた。
23年6月に市と野村不動産が締結した再開発事業に関する確認書では、31年に施設建築物を竣工することを明記していた。