木造戸建て住宅を中心に展開してきたAQグループ(さいたま市、加藤博昭社長)は、中大規模木造マンション事業を本格始動する。第1弾となる『AQフォレスト大宮桜木町』が5月上旬に完成した。同社が独自開発した「木のみ構法」を活用した4階建てのマンションで、5、6階建てにも今後挑戦する。第2弾以降は都内を中心に展開し、全国に順次拡大していく予定だ。全国展開に当たっては、地場ゼネコンなどと連携する構想で、6日に第1回セミナーを開く。当面、全都道府県で各1社とライセンス契約を結び、ノウハウを伝達していく見通し。
5月30日、さいたま市の本社ビルで会見した加藤社長は、「建築物の木造化を推進し、持続可能な社会、カーボンニュートラルの実現に少しでも貢献していければと考え、中大規模の木造化実証に取り組んできた」と狙いを説明した。その上で、完成した第1弾共同住宅の特色を「コストを抑え、大幅な工期短縮を実現した。生産性向上にも寄与できる。戸建てで培ってきた施工技術を結集した」と強調した。
宮沢俊哉会長も、「8階建ての本社も木造で建設して実証実験してきた。共同住宅は特に音が気になるため、遮音性能も高めた。秋には新ブランドとして発売し、中大規模木造を全国に広めていく」と力を込めた。
同社の木のみ構法による中大規模木造マンションは、耐震等級3、遮音1級LHー50相当を取得、RCやS造に比べてコストを10-30%削減し、工期は約3分の2に抑えることできるとしている。
4階建ての第1弾案件は、直営の設計・施工で建設した。住宅数は全7戸。壁倍率35.8倍の耐力壁を使用し、最上階の住戸には耐火現し梁を採用した。国産材の利用率は58%。建設地はさいたま市大宮区桜木町4-883-1。今後都内で6件の建設も決定しており、第6弾を5階建て、第7弾は6階建てを建設する計画だ。
全国に中大規模木造マンションを普及拡大していくため、連携する地場ゼネコン、工務店も募集する(詳細はQRコード参照)。連携企業とライセンス契約を結ぶと同時に、木材調達などのノウハウを伝達するネットワークも設置する予定だ。「同じ志を持つ企業と連携し、施工例を増やしていく」(堀野雅人フォレストビルダー事業部長)考えを示している。
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