新社長・本間組 奥村雄二氏 | 建設通信新聞Digital

8月10日 日曜日

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新社長・本間組 奥村雄二氏

【将来もグッドカンパニー】
 本間組の新社長に奥村雄二氏が6月23日付で就任した。本間達郎前社長(現名誉会長)の意志を受け継ぎ、「ビッグカンパニーを目指すよりも、お客さまや地域の皆さま、そして社員とその家族から愛されるグッドカンパニーとしての価値を高めたい」と力を込める。顧客からの信頼の向上にも努めながら、目標実現に向けてかじを取る奥村社長に持続的成長へのポイントなどを聞いた。--就任の抱負を
 「本間前社長が掲げていた経営方針を踏襲するとともに、築き上げてきた当社の社風を大切にしたい。風通しが良く、社員とその家族を大切にする。そんなグッドカンパニーであり続けたい」
 「(社員、企業が)さらに成長するためには、挑戦が不可欠だ。先人たちもそうした姿勢を貫いたからこそ、創業90周年という歴史が紡がれている。未来を思考する上では、挑戦が企業経営の根幹になる」
--現況を踏まえた企業活動は
 「能登半島地震、奥能登豪雨への対応は建設業に課せられた使命だ。一日も早い復旧・復興を支援していく。国民の社会経済活動と安心・安全を支える上では、防災・減災、国土強靱化も同じく重要だ。当社が持つ技術力、知見を生かしていきたい」
 「土木、建築ともに大型案件をターゲットに据える。建築は再エネ・新エネに関するエンジニアリング業界、物流倉庫、医療分野の動向を注視したい。受注拡大に向けて、BIM推進チームを核とした企画提案力の強化に努める」
 「環境分野では、洋上風力発電事業に積極的に参画したい。既に実績があるバイオマス発電や小水力発電をはじめ、脱炭素化に貢献していく。グループ全体で設定した2030年度までの温室効果ガス削減目標については、SBTイニシアチブから気温上昇を1.5度以下に抑える水準に整合した目標として認定を受けた」
--建設業では担い手不足が顕在化している
 「担い手不足への対策という観点では、人材の確保、生産性向上を両輪で進めていくことが重要だ。社内の全部門が連携し、主体的に取り組まなければならない。生産年齢人口の減少を見据え、誤解を恐れずに言えば、『2人でこなしている仕事を1人でできるようにする』という視点で挑んでいく必要がある。DX(デジタルトランスフォーメーション)はその可能性を秘めているが、何を変えるのか、どこに投資するのかを考えなければならない」
 「業務効率化に向けて、10月から本格稼働する基幹システムに大きな期待を寄せている。現場のデジタル化も推進している。現在の自社の取り組みだけでは効率が良くないところもあるので、異業種とも連携しながら推進する」
 「コンプライアンス(法令順守)を重視する企業として、時間外労働の上限規制に真摯(しんし)に対応している。4週8休も公共工事を中心に定着してきている」
--新たなスローガン「いい街、続け。」について
 「地域の発展と持続可能性を願い、その一翼を担う当社の姿勢を表現している。企業認知度とエンゲージメントの向上を念頭に、ブランディング戦略に沿って当社の思いを発信していく」
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 (おくむら・ゆうじ)1984年3月愛媛大工学部海洋工学科卒後、同年4月本間組入社。土木事業本部技術部長、執行役員土木事業本部副本部長、常務執行役員東京支店長、取締役常務執行役員エンジニアリング本部長を歴任。趣味は料理、ゴルフ、同社所属のフェンシング競技で国際的に活躍する古俣聖選手の応援。松江市出身、63歳。

 山本五十六の言葉である「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」を父から教わり、モットーとする。くしくも、山本が出身の新潟県に本社を置く本間組へ入社し、「縁を感じた」と振り返る。今後も社員一人ひとりに範を示し、適切に評価してモチベーションを高めることで、企業と地域の持続可能性につなげていく。