【BIM未来図】タカヤ(下) データ活用の価値を軸に社内導く/ACC基盤に部門間の連携 | 建設通信新聞Digital

9月19日 金曜日

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【BIM未来図】タカヤ(下) データ活用の価値を軸に社内導く/ACC基盤に部門間の連携

タカヤ(盛岡市)は、BIMの導入拡大に合わせるように、オートデスクが提供する建設クラウドプラットフォーム『Autodesk Construction Cloud(ACC)』の積極的な活用を始めた。意匠設計担当がBIMソフト『Revit』を率先して使ってきた流れが、構造設計など他の担当にも広がり始めたことで、ACCを基盤に関係者間の情報共有が活発化してきた。

(左から)千葉氏、安東氏、伊藤氏、高橋氏


ACCは、ワークフロー管理の「Docs」、共同設計の「BIM Collaborate」、施工管理の「Build」、数量算出の「Takeoff」の4機能で構成している。このうち同社はDocsを20アカウント、BIM Collaborateを18アカウント取得し、現在15人の設計グループ全員にアカウントを付与する。安東由吏江建築設計グループ主任は「当初はDocsを活用してきたが、意匠と構造に加え、インテリアグループとの連携も出てきたことから、共同作業を支援するBIM Collaborateも活用し始めた」と説明する。

これまでインテリア担当は意匠設計からの図面を待って作業を進めてきたが、ACCでの共同作業によって共に検討でき、レンダリングアドオンツール『Twinmotion』でより良いアウトプットを迅速に生成できるようになった。高橋朋彦建築設計グループ業務推進グループ課長は「ACCを活用した共同作業の流れによって、受注提案づくりも以前より格段に早まっている。円滑なデータ連携による業務効率化は、まさにBIM導入の価値の一つ」と強調する。

BIMを出発点にDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略に乗り出した同社は、どこを目指しているか。伊藤慎吾建築事業部工務本部建築設計グループマネージャーは「限られた人員で成長をし続けるためには業務効率の最大化が不可欠。特にBIMで施工現場を支援する流れをどう形づくるかが、われわれ推進役の大きなテーマになる」と説明する。前提にしているのは現場サイドがRevitを操作しない運用の流れだ。「Revitを使いたいとの声もあるが、現場技術者の負担にならないような枠組みを提示したい」と考えている。

7年の現場経験がある建築事業部東京建築部の千葉渉氏をBIMの推進メンバーに抜てきしたのも「現場目線からBIMデータ活用の道筋を導いてもらいたい」との思いからだ。千葉氏は「現場担当が無理なく取り組める流れをつくることが大事であり、成功体験を着実に積み上げていきたい」と語る。BIMデータ活用のパイロットプロジェクトを2件選定し、そこで施工向けのRevitアドインツールを試行的に活用しながら最適解を導く方針だ。

安東氏は「導入ツール選定に並行して、施工段階におけるBIMモデルの定義をしっかりと形づくる。現場がより効果を発揮する流れをしっかりと導くことが大切」と強調する。社内ではDX推進チームが発足し、現場を含め各部門の業務を自動化する検証も動き出す。「設計から施工にBIM導入の議論が進んでいるが、今後は維持管理の領域も含めて考えていく必要がある」と付け加える。

BIM推進室の中心メンバーである伊藤、安東、高橋、千葉の4氏はBIM導入の「価値」を軸に議論を交わし、社内を導こうとしている。同時並行で動き出したDX推進の流れに後押しされるように、土木部門でもBIM/CIMの議論が始まった。「価値」創出に向けた意識は他部署にも広がり始めた。

Twinmotionの共同作業も拡大



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