【学校教育と建設業PR、ラジオで重ねる】宅島建設(長崎県雲仙市) | 建設通信新聞Digital

9月24日 水曜日

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【学校教育と建設業PR、ラジオで重ねる】宅島建設(長崎県雲仙市)

金谷氏


 宅島建設(長崎県雲仙市、宅島寿孝代表取締役)がFM諫早で毎週月曜日に放送する自主制作ラジオ番組『エール!』が、10月に1周年を迎える。企画や番組パーソナリティーを務める金谷明克企画部長は「時間をかけて、就活を意識する前の地元中高生にアプローチを続けることが、建設業のPRと人材採用につながる」と語る。

◇建設業だけでは届かない

 金谷氏は金融機関、テーマパークやタクシー会社などで営業や経営に従事した後、3年前に入社。同社の採用活動の一環として、地元の中高生と社員が参加するラジオ番組の制作・放送を企画した。背景に「若者に向けた発信内容が建設業についての情報だけでは、彼らが関心を持たないので何も届かない。しかし、彼らの友人が交代で出演するようなラジオ番組が毎週放送されていれば、自分と関係があると感じて耳を傾ける」との考えがある。このため番組の前半に地元の中高生の話を、後半に同社の若手・ベテラン社員などが自分の仕事について語る構成とする。

 番組名には「地域の若い皆さんに声援を送りたい」との思いを込めた。同社に関心を持ってもらう入り口に位置付け、詳しい情報は企業サイトなどを通じて提供する。

 当初は高校と連携し、高校生が出演していた。回数を重ねるうち「就活を意識し始めた学生にアプローチするのでは遅すぎて入職につながらない可能性もある。中学生にも知ってもらう取り組みが必要だ」との危機感を抱き、中学校とも連携、今年4月から中学生も出演している。

諌早商業高校での収録


◇「飾らない言葉」を発信

 パーソナリティーとして「飾らない言葉」を心掛ける。「中高生が普段のおしゃべりのように話せるよう、番組は各校での出張録音としたり、話題を生徒自身のこととするなど、リラックスした雰囲気をつくる。社員にも仕事について『ちょっときつかったな』と感じたことなど忌憚(きたん)のない話を聞く」との姿勢だ。

 ラジオ番組を通して自分について話す経験の意味も指摘する。「公の場面で自分について話す経験が、自分の活動への振り返りを促す。社員が仕事への意識を深める機会になる」と説明する。中高生にとっても同様に教育的意義を持つと教員側から評価する声も。

 番組制作で特に気を使うことに社員のスケジュール調整を挙げた。「番組は毎週放送だが、現場の社員は工事の進捗(しんちょく)によって現場を空けられず出演が難しくなる場合がある。しかしスケジュール調整しやすい管理部門の社員ばかりが出演すると内容が偏る。現場に迷惑をかけない調整が必要」と補足する。

諫早市立明峰中学校での収録。同中学校と同社は7月に番組に関連し「協育宣言書」を取り交わした


◇地元との関係深化も

 番組の役割について、採用活動の入り口のほか、同社と地元との関係深化も挙げる。「地元の中高生に就職先として意識してもらうことが必要だが、そのために例えば地元の学校に訪問すると、通常会えるのは進路指導担当の先生のみだ。公立学校の先生は数年で別の学校に異動する。これでは学校との関係を構築するのに限界がある。対して、ラジオ番組に協力を求める場合だと、校長、教頭、主任など複数の先生と話す機会が生まれたり、先生も番組を聞いたりするので、学校との関係を構築しやすい」と説明する。

 将来については「当社グループは長崎県下で事業を営んでいるので、県内の他地域にも取り組みを広げたい。学校以外の機関についても、番組を通じて関係を深める場となれば」と先を見据える。

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