【次世代へ飛躍の年に】
富士教育訓練センターを運営する全国建設産業教育訓練協会の第4代会長に5月26日付で大木勇雄氏(日本建設躯体工事業団体連合会会長)が就任した。建設業の担い手確保や生産性・安全性向上のために、全国の教育訓練機関を先導して技術者・技能者の育成に努める方針を示す。2027年に迎えるセンター開校30周年を前に「次世代の建設業に向けて飛躍の年にする」と決意を語る大木会長に、今後の運営方針を聞いた。
--就任の抱負とセンターの運営方針について
「歴代の会長は難局を乗り越えてセンターの運営に尽力した。将来に向けて組織を永続的に発展させる重責を担い、身の引き締まる思いだ。次の世代の建設業に向けて飛躍の年にしなければならない」
「国土強靱化やインフラ整備、災害対応で社会的使命を担う建設業が維持していくためにも入職者の減少には強い危機感を持っている。処遇改善は喫緊の課題だが、同時に教育訓練も重要になる。センターで技術・技能を身に付け、働くことの楽しさや達成感、喜びを感じてほしい。センターの役職員、講師がその役割の重要さを認識して教育訓練を進めていく必要がある」
「センターは受講者が寝食を共にして語り合う場でもある。教育訓練そのものも重要だが、一緒に生活をして仲間意識を高めることも大切だ。技術・技能を身に付けるとともに、過ごした時間を楽しい思い出にしてほしい」
--建設業界の人材育成で担うべき役割や、業界全体で教育訓練を支える仕組みづくりを目指す「新たな教育訓練体系構築検討会」への期待は
「日本各地にある教育訓練機関の中核としての役割を認識してセンターを運営していかなければならない。少子化や価格高騰などあらゆる面で建設業は転換期にある。検討会でも意見を伝え、業界全体に教育訓練の重要性を一層認識してもらう必要がある」
「27年4月からの育成就労制度の開始を踏まえ、外国人材にも熟練者として育ってほしいという期待がある。また、建設キャリアアップシステムに基づいて技能者のスキルと評価を高めるためには、官民で取り組みを加速させる必要がある。そうした観点からも、センターは各教育訓練機関にひな形を示すだけではなく、プレーイングマネジャーとして教育の在り方を見直しながら運営しなければならない」
--受講生の掘り起こしについて
「送り出す企業に対して、センターで受講するメリットをアピールしていく。人手が不足する中、現場を離れて教育訓練を受けさせることは企業にも負担がかかるため、受講による技術・技能の向上を実感してもらえる教育訓練に取り組みたい。企業にとっても時間や費用はかかるが、コストではなく人に対する投資だと考えてほしい」
「企業や職長によってそれぞれのやり方がある中で、安全衛生管理や品質管理、工程管理などについて統一した考えに基づいた共通テキストも作成していく必要がある」
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(おおき・いさお)1972年3月日大理工学部建築学科卒後、同年4月竹中工務店入社。80年1月大木組入社、90年4月社長、2011年4月代表取締役会長、18年4月取締役会長、19年3月から名誉会長。団体活動では、18年5月から日本躯体会長。49年8月17日生まれ、76歳。
■記者の目
AI(人工知能)の進展による米国の労働市場の急激な変化が日本でも取りざたされている。大木会長は雇用制度の違いに留意しつつも、建設業への労働移動が進む将来も見据え「センターの役割は一層重要になる」と説く。まずは自らの目でセンターの現状を確かめる考えで「実際に泊まり、翌朝の朝礼やラジオ体操に参加し、善し悪しを実感したい」と明かす。センターの運営でも徹底した現場目線でかじを取る。
