東急不動産とセレンディクスは、熊本県水俣市のセレンディクス熊本工場で、3Dプリンターを使った建設部材の製造工程を報道陣に公開した。神戸市内で開発を進める物流施設「LOGI’Q(ロジック)神戸新長田」の敷地内に設ける休憩スペース「グリーンポート」向けの部材を製造する。従来工法に比べて施工期間を大幅に短縮できるメリットを生かし、建設業の労働力不足への対応や環境負荷低減、不動産空地の有効活用につなげる。
3Dプリンターで柱部材を造形する工程を公開した。部材は1基当たり高さ2390mm、外径450-600mm、重量約400㎏。特殊なモルタルを層状に積み重ねて曲線的な形状をつくる。完成後に神戸市の現場に運搬し、基礎の鉄筋に部材を被せ、中空部分にコンクリートを流し込んで完全に一体化させる。
グリーンポートは敷地内の三角形の狭小地に設置する。神戸港の波をイメージした曲線的なデザインを採用し、施設で働く約300人の従業員が利用できる憩いの場として8月末の物流施設の完成に合わせて整備する。東急不動産の担当者は「通常の型枠工法では施工に1週間以上かかるが、3Dプリンターなら自由な曲線を表現でき、現地施工も約1日半まで短縮できる」と協業の狙いを説明した。
セレンディクスは、3Dプリンター住宅を手掛けるスタートアップ(新興企業)として事業を展開する。今回、部材製造に採用した3Dプリンターは、水俣工場にある国内唯一の次世代型「2K」方式だ。プリンターヘッドの直前で急速硬化剤を混ぜることで、材料は約30秒で硬化を始め、高精度で連続的な積層が可能になる。一般的な建築用コンクリートを上回る強度を確保しながら、滑らかな曲線を実現できる。
同社の飯田國大CTOは、3Dプリント技術の用途について「住宅だけでなく、駅舎などの公共インフラ、商業施設、災害復興、防衛分野などに広がっている」と説明。「建設コストを下げ、車を買うような感覚で家を買える社会を実現したい」とし、さまざまな分野で蓄積した技術を住宅開発に還元し、さらなる低コスト化と量産につなげる考えだ。
一方、東急不動産も物流施設の開発に3Dプリント技術を取り入れることで、建設の省人化と環境負荷低減を進める。
