北陸地方整備局河川部は、2018年7月豪雨の出水に基づき、今後予定している大町ダム等再編事業の水位低減効果をまとめ、記録的降雨でも下流域の流下量と水位の大幅な低減に寄与すると推定している。
大町ダムは4日正午から6日午前3時までに、管理開始以降最大となる累加雨量約245mmを観測。約210万m3の洪水を貯留し、陸郷地点(長野県安曇野市)の流下量約3割、水位として約10cm低減した。
事業完了後に今回の豪雨が発生したと仮定すると、流下量は約9割、水位は約50cm低減していたとみられ、治水安全度のさらなる向上が期待される。
同事業は犀川、千曲川、信濃川の洪水軽減に向け、既設ダムを生かして洪水調整機能を高める。具体的には多目的ダムである大町ダムの水道容量の一部と、高瀬、七倉両ダムの発電容量の一部を洪水調整容量に振り分ける。
また、土砂対策として、土砂搬出施設を新たに整備する。高瀬ダムと七倉ダムの間にある旧高三導水路を活用しながら、高瀬ダム上流部と七倉ダム~大町ダム間に計7㎞の土砂搬出用トンネルを新設。旧導水路とトンネルを合わせ、計14㎞のベルトコンベヤーを設置する。全体事業費230億円のうち、工事費は123億2500万円と試算している。
14年度に新規事業化されたが、建設工事にかかる新規事業採択時評価は未着手となっている。
このほか、今回の豪雨では管内の神通川、井田川、庄川、小矢部川、梯川、宇奈月ダム、手取川ダムも治水事業が効果を発揮している。