【記者座談会】19年3月期第1四半期決算出そろう ゼネコンは高水準で維持、設備、道路舗装の出足は順調 | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

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【記者座談会】19年3月期第1四半期決算出そろう ゼネコンは高水準で維持、設備、道路舗装の出足は順調

A 上場企業の2019年3月期第1四半期決算が出そろった。ゼネコンは、多くの企業が過去最高益を記録した上昇局面が一服し、手持ち工事量と利益を高水準で維持する段階に入ったといえる。手持ち工事の消化も始まっており、大手ゼネコン・準大手クラス26社のうち、7社が過去最高の売上高となった。
B 大手ゼネコンは、しばらく安定期が続きそうだ。大手4社の決算は、いずれも前年同期の反動で各利益が減少したものの、単体の完成工事総利益(工事粗利)率は、依然として高水準を確保している。各社とも第2四半期以降、手持ち工事の消化期に入り、高利益で順調な消化を狙うとみられる。
C 工事粗利率は4社とも前年同期を下回り低下傾向がみられるものの、10%を超えている。
A 連結の売上高は、大林組と大成建設が微減、鹿島と清水建設が増加となった。第2四半期以降、売上高の積み上げが見込まれそうだ。
C 準大手クラスでは、長谷工コーポレーション、前田建設、東急建設、奥村組、青木あすなろ建設、飛島建設の6社の連結売上高と、フジタの単体売上高が過去最高となった。
B 技術者や技能者の稼働率が上限に達しつつある中で、手持ち工事の消化段階に入り始めたとみられ、第2四半期以降、さらに消化量が増えることになりそうだ。

大手ゼネコン4社の工事粗利率は、前年同期を下回り低下傾向がみられるものの、いずれも10%を超えている(写真と本文は関係ありません)

A ところで、設備工事会社の業績はどうだったか。
D 電気、空調とも全体的に出足は順調だったといえそうだ。電気設備工事大手5社の業績の先行指標となる受注高は関電工、きんでん、ユアテック、トーエネックの4社が前年同期と比べ増加した。期首の受注高予想をベースとした達成率は、きんでんとトーエネックがほぼ3割となっている。空調設備工事を主力とする大手6社の受注高は、朝日工業社以外の5社が前年同期実績を上回った。製造業を始めとした産業空調の需要が引き続き堅調なことなどが要因だ。
A 道路舗装会社の業績は。
E 道路舗装7社の売上高は、手持ち工事の消化が進んだことや前期の反動から、全社ともに前年同期を上回った。うち4社は2桁増の大きな伸びを示している。通期予想でも6社が増収を見込んでいる。工事受注高は日本道路が2桁増と大きく伸ばした。その一方でNIPPO、世紀東急工業、佐藤渡辺の3社が2桁減となった。製造販売事業は前年並みか微減傾向だが、三井住建道路は販売に力を入れたことで2桁の伸びを示した。各利益も減少が目立つが、その要因には原材料の仕入れ価格高騰が挙げられている。
A 資機材メーカーの業績はどうかな。
F セメント大手4社のセメント事業は、首都圏の東京五輪関連工事や再開発工事、北陸地区の北陸新幹線延伸工事など旺盛な需要により、国内販売数量が増加し、全社が増収となった。一方で石炭価格の上昇といったコスト要因が大きく響き、太平洋セメントを除く3社は減益となった。
G 建機メーカー大手4社も2桁の増収となった。利益面も各社で大幅に増加し、好調さを示した。日本国内の売上高は17年に施行された新排出ガス規制に伴う駆け込み需要の反動減などで下落傾向となったものの、建機需要が旺盛な中国や北米が大きく伸びた。ただ、中国市場は前年同期と比べて伸び率が鈍化している社もあり、今後については各社とも慎重に見ているようだ。

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