【column BIM IDEATHON(12)】建築情報・形式の統一 (2) -BIMオブジェクトプラットフォーム- | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

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【column BIM IDEATHON(12)】建築情報・形式の統一 (2) -BIMオブジェクトプラットフォーム-

 前回は共通データ環境についてCDEの視点から言及した。今回はプラットフォームビジネスの視点から考えてみたい。

◆BIMプラットフォームビジネス
 BIM環境構築になくてはならないのは、モデリングするために準備する情報部品の定義をどう構築するかである。BIMソフトを導入しても、部品が整備できていないと実務レベルでは活用できない。また、これまでは組織ごと、またはチームごとにこの部品を整備していたと言える。
 各社が部品を揃えることは、それに費やすリソースを割くことを意味する。メーカーが特定可能な製品に関してはメーカーが部品を準備すればよく、これを各社が整備することは効率的ではない。こうした部品は今後業界全体で整備することが望まれる。
 運用や更新も踏まえ、より高度な仕様体系の整理も、今後の情報活用の面で必要である。
 現在は、各社でメーカーのカタログ類を整理したり、取り寄せたりしているが、新たな製品が販売されたり、廃盤になったりするたびに再整理や再確認の作業が発生している。また、そのような情報を得るために、頻繁にメーカーサイトを確認するなどの作業が必要である。

情報部品を共有するためのBIMプラットフォーム

◆国内BIMプラットフォーム構築
 ここ数年の間で、BIMの部品を共通化しようとする動きが見える。これは、各社が部品を整理するのではなく、共通化が整備の効率化を図ることと同時に、これまでのコラムでも触れられたが、情報流通性を高める狙いもある。
 海外では部品をメーカーから収集しユーザーに提供するBIMobjectなどのサービスが始まっている。このサービスはメーカーが費用を支払い、部品を登録する代わりに、ユーザーは無償でその部品の提供を受けられる。サービスが提供するメーカーが増えるほどユーザーの価値は増し、サービスがプラットフォームになり得る。
 メーカーは自社サイトに部品を登録するのではなく、サービスに登録することで、自社サイトのメンテナンス費用を圧縮する代わりに、サービスに対価を支払う。また、サービスは新製品、廃盤などの情報を管理し、ユーザーが廃盤品を選択しようとした場合に、代替製品の提案なども行う。
 ユーザーはサービスにより常に最新の情報を手にすることが可能であり、かつメーカーから提供される部品を利用することが可能になる。これまでのようにカタログ整理のリソースも低減できる。

◆プラットフォームを指向する
 日本でも既にArch-LOGなど同様のサービスが提供されており、今後利用が進むと考えられる。しかしながら、設計初期段階で細かい仕様までを決めることは難しく、情報部品はより標準的・汎用的(=ジェネリック)である必要がある。
 ジェネリックな部品は、現在ユーザー会などを通じて提供されているものもあるが、企業間で独自に検討し公開しているものも存在する。例えば著者らが参加するBIM Summitでは、構造設計で受け渡す情報のルールを検討・実装し提供している。この意図は各社が規定することによる非効率さを排除し、データ流通性を高めることにある。
 また、建築保全センターでは2015年よりBIMライブラリーコンソーシアム(BLC)を設立し、BIMオブジェクト標準の確立、部品の試作までを行っている。
 今後BLCは体制を見直し、国土交通大臣認可の技術研究組合として活動を継続していく予定であり、活動目標・目的には建築確認申請等との連携も含まれている。BIM標準化とともに、この6月より活動が開始された建築BIM推進会議とも連携しながら、国内のBIM推進を図っていくものと考えられる。
 これまで民間主体で建築BIM環境が構築されてきたと言えるが、電子確認申請等民間主体だけでは進まない課題も多くある。行政を交えた取り組みにより、プラットフォーム構築が進むことは、日本のBIM発展に欠かせないのではないだろうか。
(大成建設/大越潤)

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