【"みらいのげんば"実現へ】仙台徳洲会病院移転新築工事 「HARMONY」重視の運営展開とは | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

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【“みらいのげんば”実現へ】仙台徳洲会病院移転新築工事 「HARMONY」重視の運営展開とは

 “みらいのげんば(未来の現場)”を実現したい–。熊谷組が仙台市内で施工を進めている(仮称)仙台徳洲会病院移転新築工事の作業所(青栁謙太郎所長)では、「STH(Sendai Tokusyukai Hospital) Challenge48!」を合い言葉に▽働き方改革▽生産性向上▽建設業の魅力発信–の3テーマに関する48のチャレンジに取り組んでいる。現場の“顔”とも言われる仮囲いの一画には新入社員2人が水族館をイメージして制作した作品が展示されており、地域住民の目を楽しませている。青栁所長が目指す“みらいのげんば”を取材した。

青栁所長


 現場は、仙台市地下鉄南北線の起点「泉中央駅」から県道35号泉ヶ岳通りを南東に向かって車で約5分の同市泉区高玉町の中古車販売店跡地約3.5ha。同駅の北西約700mにある既存の仙台徳洲会病院の建物および設備の老朽化が進んでいることから移築する。

完成予想パース


 2019年9月から準備工事に着手し、20年4月に本格着工した。青栁所長は着工に当たり「日本建設業連合会本部の委員を務めていた際に、全国の現場から学んだ新たな取り組みにチャレンジしたい」と考えた。

 プロジェクトの略称と自身がことし迎える年齢から名付けたのが「STH Challenge48!」。同作業所が独自に取り組む働き方改革関連16項目と生産性向上関連19項目、建設業の魅力発信関連13項目の計48項目の挑戦を盛り込んだ。

 働き方改革関連では、HARMONY(調和)が生まれるオフィス環境づくりや、外国人労働者への配慮、4週8閉所の実現、仮設トイレのレストルーム化などを推進する。

 生産性向上については、現場の要望事項やヒヤリハット体験を受け付ける「HARMONY BOX」の設置、ICT建機活用、現場内Wi-Fi環境整備などに取り組む。

 建設業の魅力発信に関しては、通学児童・生徒に配慮した歩道「HARMONY ROAD」確保や、けんせつ小町工事チーム登録、仮囲いへの“季節を感じるスペース”の設置などを進める。

敷地境界から仮囲いをセットバックすることで、通学児童・生徒に配慮した歩道「HARMONY ROAD」を確保

入社初仕事として“季節を感じるスペース”の制作を任された井上さん(右)と赤羽さん


 これら3テーマに共通するのが“HARMONY”であり、青栁所長が現場運営で常に重視していることだ。作業所のスローガンにも「“和”をもって“こころ”かようものづくり」を掲げている。

 現場の北西角に設置する季節を感じるスペースは、4月に入社した井上涼花さんと赤羽佑斗さん2人に“初仕事”として任せた。2人は「100円ショップで買える材料だけで、映(ば)える作品をつくれ」という青栁所長の宿題をクリアし、初夏の青い空・青い海で魚たちが泳ぐ「STH水族館」を完成させた。今後もハロウィンやクリスマス、桜・卒入学などをイメージした作品を展示する予定だ。

 また、同社および設備会社の女性職員約10人でつくる「STH小町」は6月下旬に活動をキックオフ。今後、インスタグラムなどによる魅力発信のほか、仮囲い北東角のスペースに作品を展示する。

 新病院はRC一部S造9階建て塔屋1層延べ3万3739㎡の規模。1-2階は主に外来・検査系部門、3階は手術系部門、4-7階は病棟、8階は介護老人保健施設、9階には総務部門および会議室を配置する。屋上階にヘリポートを設けるほか、駐車場は500台分を確保。木造平屋建て230㎡の保育所も整備する。設計・監理は伊藤喜三郎建築研究所が担当している。

 現在、基礎工事を進めており、8月から躯体工事に着手する。21年7月の上棟、22年2月の完成を目指す。

 青栁所長の挑戦は始まったばかりだが“みらいのげんば”の実現は、建設業界全体が抱えるさまざまな課題を解決する一つの手掛かりになるだろう。

基礎工事が進む現場の現況

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