【山岳トンネルのアタリ除去支援】大成建設のガイダンスシステム「T-アタリパーフェクター」 | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

公式ブログ

【山岳トンネルのアタリ除去支援】大成建設のガイダンスシステム「T-アタリパーフェクター」

 大成建設は、山岳トンネル工事での設計断面に対するアタリ(出っ張り)や余掘りなど掘削面の状況をリアルタイムに把握することで、オペレーターのアタリ除去をサポートするガイダンスシステム「T-アタリパーフェクター」を開発した。アタリ除去における安全性と作業性の向上が狙い。アタリを効率的かつ確実に除去することで、余掘り量の低減などコスト削減に役立つ。

 建設機械に取り付けたプリズムを作業位置の後方にある光波測距儀(トータルステーション)で追尾することで、機械の位置や方向を把握。その位置情報と機械のアームに取り付けた傾斜計の情報を組み合わせることで、油圧ブレーカーのノミ先の位置を正確に算出する仕組み。

 ベースとなる設計断面との比較からノミ先が触れた岩盤(掘削面)のアタリや余掘りの状況をリアルタイムに数値化。操縦席のモニターに正確に映し出すことができる。

 ICTを活用した計測システムを展開する演算工房(林稔社長)、建設機械レンタル大手のアクティオ(小沼直人社長)との共同開発となる。

 山岳トンネル工事は、発破・ずり出しの後、設計断面に対するアタリを重機に搭載した油圧ブレーカーなどで取り除く。

 アタリ除去の作業は切羽の近くに立つ補助作業員がレーザーポインターを使って、オペレーターに除去するポイントを指示していたことから、切羽崩落に巻き込まれる危険性があった。

 より設計断面に近づける(余掘り量を最小限にとどめる)必要があるが、アタリや余掘りの状況確認は作業員やオペレーターの経験・技量に頼る部分が大きい。除去不足による追加作業への懸念から過大に余掘りしてしまう傾向が強いという課題もあった。

 油圧ブレーカーのノミ先が触れた岩盤のアタリや余掘りをリアルタイムに確認できるガイダンスシステム「T-アタリパーフェクター」を導入すれば、オペレーターがモニターを見ながら、単独でアタリ除去を進めることが可能。作業員が切羽の近くに立ち入って指示を出す必要がない。

 既に国土交通省近畿地方整備局の「大野油坂道路荒島第2トンネル西勝原地区工事」への適用によって、従来の通常掘削との比較で約15%も余掘り量を低減することに成功。省人化や安全性の向上だけでなく、余掘り量の低減によるコストダウン(コンクリート吹付量の削減)の効果も期待できるという。

建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら