【記者座談会】2020年労災発生状況/日建協が21年賃金交渉基本構想 | 建設通信新聞Digital

5月2日 金曜日

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【記者座談会】2020年労災発生状況/日建協が21年賃金交渉基本構想

A 2020年(1~12月)の労働災害発生状況がまとまったようだけど。

B 1月7日時点の速報値で、建設業の死亡者数は前年同期比(前年同時点比)2.4%減(6人減)の240人、休業4日以上の死傷者数は、0.9%減(129人減)の1万3684人だった。死亡者数は3年連続して減り、死傷者数も2年続けて減少している。

C 確定値は例年5月下旬をめどにまとまる。速報値は確定値が出るまでに3回示される。過去の傾向から、速報値は確定値と比べ1月は9割程度、2月が95%程度、3月が約98%の人数となる。

D 近年の確定値までの推移を踏まえると、20年の死亡者数(確定値)は260人から270人程度になるとみられ、過去最少だった19年の269人を下回る可能性も出てきている。死傷者数も近年と同程度で推移した場合、20年の確定値は推計で1万5020人程度になるとみられる。死傷者数が1万5000人台であれば6年連続で1万5000人を下回り、1万4000人台となれば初めてのことだ。

B 総じてみれば、長期的に建設業の死傷者数は減少傾向が続いているといえる。18年から22年の5年間を計画期間とする第13次労働災害防止計画では、重点業種の建設業について「死亡者数を17年と比較して22年までに15%以上減少」との目標を設定している。つまり、最終22年の死亡者数を274人以下に抑えることで目標達成となる。現時点で20年の死亡者数は、17年比18.1%減と目標をクリアしている。

建設業の死傷者数は長期的に減少傾向が続いている

コロナ禍影響、交渉は長引くと予想

A 話は変わるけど、日本建設産業職員労働組合協議会が21年の賃金交渉基本構想を発表したね。

E 21年の賃金交渉を取り巻く情勢として日建協は、新型コロナウイルス感染症の影響により、景気は依然として厳しい状況にあるものの、持ち直しの動きがみられるとした。建設投資は、政府投資が堅調な見通しながら、民間投資は前年度から減る見通しになっているとしている。先行きについては感染拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルを引き上げていく中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあり、持ち直しの動きが続くことに期待を込めている。

F 建設産業は、20年度第2四半期決算で売り上げ、利益が減少しており、受注高も多くの会社が前年同期を下回った。通期見通しは、コロナ禍の影響により、産業や分野ごとの需要の増減にあわせて、受注案件を乗り越えられた企業と対応できなかった企業で、業績の落ち込み幅に明暗が分かれる可能性があるとみている。

A 月例賃金、一時金、初任給の要求水準は。

E 月例賃金は組合員がやりがいを持って仕事に臨み、生産性の向上など働き方改革に高い意識で取り組むために引き続き引き上げに取り組むとした。一時金は昨年実績以上の水準を目指すとともに、継続的な維持・向上に計画的に取り組んでいく。初任給は継続的な人材確保のため、各加盟組合で目標を定め取り組むとしている。

A コロナ禍の影響が懸念されるが。

G 日建協は「コロナ禍の影響で交渉は長引くと予想している」とするとともに「厳しいのは間違いない」とみている。また、「昨年は、ちょうど交渉中にコロナ禍に巻き込まれた。ことしは最低でも維持は目指す」と話している。

A これからの動向がどうなるか注視していきたい。

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